1週間のニュース(10月20日~24日配信)
中央
■10月20日(月)
▽「標準約款を準用」4割 民間工事の元請け
国土交通省の調査で、民間工事でよく使う契約約款・契約書を元請け建設業者に聞いたところ、「民間建設工事標準請負契約約款」を準用するとの回答が最も多く、全体の39・4%を占めた。民間工事のウエートが大きい建設業者では、「民間(七会)連合協定工事請負契約約款を準用、一部修正して使用」や「独自の契約書・約款を使用して作成して使用」との回答も大きな割合を占めている。
▽改修前のZEB化計画検討 未実施が6割
環境省によると、2024年度に国・独立行政法人等が発注した既存建築物の省エネ改修事業のうち、ZEB化に向けた取り組みや計画策定が実施されていた割合は14・0%にとどまった。環境配慮契約法基本方針では、既存建築物の改修前にZEB化を見据えた中長期的な改修計画を検討するよう推奨しているが、59・9%は計画を策定していないことが分かった。
■10月21日(火)
▽民間工事のICT導入に遅れ 課題は「活用人材の不足」
国土交通省が、ドローンやマシンコントロール・マシンガイダンス建機といったICT技術の導入状況を調べたところ、対象企業の74・4%が「活用していない」と回答した。特に、民間工事の受注割合が大きな企業でICTを活用していない傾向が強かったことも分かった。課題には、「活用のための人材が不足」していることを挙げる企業が多かった。
▽債務負担による複数年契約 賃上げで次回調達にも加点
国土交通省は、国庫債務負担行為により複数年契約で発注する直轄工事について、賃上げ加点の考え方をまとめた。4カ年国債による契約の場合、初年度だけでなく2年度目にも賃上げしたことが確認できれば、事業の同一性がある次回の工事でも入札時に加点評価する。ただし、3~4年度目までに意図的な賃金の引き下げを行っていた場合にはペナルティーを科す。直轄土木工事では、一部の維持工事が該当すると見られる。
■10月22日(水)
▽建設業の災害復旧活動、人員、資機材確保に不安
国土交通省が全国の建設企業を対象に、災害復旧活動の取り組み状況について調査したところ、活動の課題として「人員の確保」を挙げた割合が88・8%に上ったことが分かった。次いで多かった回答は「資機材の確保」で、56・1%となった。労務費や資機材価格の高騰が進む中、建設企業が突発的な災害に備えた体制を維持できる環境整備が求められる。
▽金子新国交相「国土強靱化、全力で推進」 喫緊の課題は経済対策
公明党の中野洋昌衆院議員に代わって国土交通相に就いた金子恭之衆院議員が10月22日、会見し、「防災・減災、国土強靱化の取り組みを全力で推進する」との考えを示した。新内閣の喫緊の課題として、経済対策、物価高騰対策を挙げ、国交省の所管分野の政策課題への対応を進める考えを示した。
■10月23日(木)
▽耐震化率の調査方法「見直しを」 強靱化中期計画の実効性確保
政府は10月23日、国土強靱化推進会議を開き、有識者らと6月に決定した第1次国土強靱化実施中期計画の実効性確保策を議論した。大都市部以外も含めて住宅・建築物の耐震化を着実に進めるため、福和伸夫名古屋大学名誉教授が耐震化率の把握方法の見直しを提言。現行の5年に1回の調査だけでなく、不動産登記簿なども活用して毎年度の進捗を把握するとともに、大規模災害時の救援が困難な地域で、より積極的に耐震改修を促す仕組みを求めた。
▽上下水道の職員、9割で不足 点検・更新に遅延の恐れ
国土交通省は、10月23日に開いた上下水道政策に関する有識者検討会で、全国の上下水道事業を実施する地方自治体の約9割で職員不足が課題となっている実態を報告した。計画・設計のノウハウ不足による発注業務の遅延、不十分な施工管理による品質低下の恐れもあるとし、日常的な点検から老朽管路の更新にまで遅れが生じるとし、対策を検討する方針を示した。
■10月24日(金)
▽責任ない工期変更、47%で 工期不足で休日出勤、残業も
国土交通省の2024年度の調査で、自社の責任でないにも関わらず工期変更された工事が「あった」と回答した建設会社が全体の46・6%に上ることが分かった。工程に影響した条件としては関連工事の有無や不稼働日、作業可能時間、支障物といった要素を挙げる会社が多かった。工期不足で作業員増員や休日出勤、早出・残業を迫られる会社も多く、工程の合理化だけでは対応が困難な実態も明らかになった。
▽高市首相が所信表明演説 「国土強靱化は最優先課題」
第219回臨時国会が10月24日に開会し、高市早苗首相が就任後初めての所信表明演説に臨んだ。高市首相は演説の中で、国土強靱化対策に触れ「巨大災害に対する事前防災、発生してしまった災害の応急対策、復旧・復興は、国として対応すべき最優先課題だ」と強調した。「成長戦略の肝は『危機管理投資』」とも述べ、経済安全保障やエネルギー安全保障などと並び、国土強靱化対策にも戦略的に投資する考えを示した。
