名古屋港管理組合 ポートアイランドは次世代エネ拠点を先行

中部
 名古屋港管理組合は、2025年度内に策定する名古屋港の新たな長期構想の骨子案を明らかにした。ポートアイランド地区は、「先行して南部地区と一体となった次世代エネルギーなどの大規模拠点を形成していく」とし、将来的なコンテナ貨物の需要の高まりに合わせ、西部地区と連携させていく将来展開のイメージを示した。  長期構想は、名古屋港を物流で日本を引っ張る価値創造港湾と位置付け、基本的な価値観や考え方、将来像、施策の方向性、空間利用の方向性、施策と並行して進める取り組みを盛り込む考え。  今回示した施策の方向性は、将来像の三つの柱(物流サービスの提供、地域の成長・進化、環境・地域との共生)を基に示した。  物流サービスの提供として▽世界標準に適合した高性能なコンテナ物流拠点の形成▽多機能なロジスティクスハブの形成▽港湾機能の強靱化▽シームレスな物流環境の構築▽脱炭素化―などを挙げる。また、地域の成長・進化の観点では、次世代エネルギーの大規模拠点形成や次世代産業を振興を方向性に掲げる。環境・地域との共生では、浅場・干潟の保全や生物共生型港湾構造物の整備、魅力ある港湾空間の形成などを示した。  空間利用の方向性は、内港・金城地区と西部地区、南部地区、ポートアイランド地区の4エリアに分け、施策の進め方のイメージを示した。  内港・金城地区は、三つの柱に位置付ける機能を全て施策として展開していく。既存機能を集約・再編しつつ、完成自動車取り扱い機能などを拠点化、多機能なロジスティクスハブを形成する他、ガーデンふ頭や中川運河、金城ふ頭で交流拠点を形成。大江・昭和・潮見・新宝ふ頭は、既存機能を利用転換しながら開発用地を確保、次世代産業の振興を図るイメージとしている。  西部地区は、多機能なロジスティクスハブ形成と次世代産業の振興を指向。機能の集約・更新を通じて、既存ターミナルの高規格化・高度化を進める。既存機能の利用転換を通じて開発用地を確保し、次世代産業の振興を図るとした。  南部地区は、既存施設を活用しながら次世代エネルギーの取り扱いを開始。次世代エネルギーを活用した新たな産業の開発を進める。ポートアイランド地区での次世代産業の拠点形成が可能になった時点で、ポートアイランドを含めた次世代エネルギーの大規模拠点の形成に取り組んでいく方向性を示した。  ポートアイランド地区の用地はポテンシャルが高い一方、仮置き土砂が計画高より最大10㍍を超えている点や、アクセス道路には高額な費用が掛かる点を考慮。脱炭素の需要の高まりに合わせ、部分的な土地の完成など開発までの時間を短縮する工夫をしながら、まずは次世代エネルギーの大規模拠点の形成を目指す方向性を打ち出している。さらに将来的なコンテナ貨物需要の高まりに合わせ、西部地区と連携した世界標準の高性能コンテナ物流拠点を形成するとしている。その他、現時点では想定できない新たな需要に対して同地区の開発状況を踏まえながら対応を検討するとした。