単価歩切り」気付いた66% 官積算への不信感にも

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 2014年の品確法改正で、予定価格を適正に設定することが発注者の責務に位置付けられた。この法改正の象徴的な成果となったのが、歩切りの根絶だ。設計書金額の一部を切り下げる歩切りは、法律に違反する行為とされ、国交省は歩切りを行っていた地方自治体を強く指導。16年3月までに全ての自治体が歩切りを取り止めたことを確認した。  今年4月、25年度当初予算の成立後、国土交通事務次官名の通知で「単価歩切り」を禁止するよう、全国の公共発注者に周知した。単価歩切りとは、発注者が見積価格やメーカーの販売価格の妥当性を確認せず、独自の乗率を掛けて価格を切り下げる行為。通知では、「実質的に歩切りと類似する結果」を招くとして、こうした行為を取り止めるよう求めた。  建通新聞電子版で4月22日~4月30日まで行ったアンケート調査で、この単価歩切りを確認したことがあるとの回答は全体の66・1%に上った。いわゆる単価歩切りが公共工事で日常的に行われていることが危惧される結果となった。  長年にわたって歩切りが行われてきたこともあり、受注者である建設業界には発注者の積算に対する不信感が根強く残っている。意図的に予定価格を切り下げる歩切りや単価歩切りだけでなく、発注者が数量や金額を誤る「違算」も全国で頻発している。  技術職員が不足している市町村の発注工事では、設計と現場の不一致により、予定価格を適正に設定できず、入札不調につながる事例も増えている。一部の自治体では、設計段階で施工者の知見を反映しているが、全ての工事でこうしたことに取り組むことは難しい。  ただ、労務費・資材価格が上昇局面にある今、少なくとも根拠のない価格の切り下げを行えば、そのことは入札の不成立へと直結する。そのことを十分に考慮し、発注者には積算に臨んでほしい。