ENEOSパワー 川崎に天然ガス発電所を建設

神奈川
 【川崎】ENEOS Power(東京都千代田区大手町1ノ1ノ2)は、川崎市川崎区にあるENEOS川崎事業所の敷地内で「(仮称)扇町天然ガス発電所」を建設する。設計者・施工者は非公表。タービンやボイラー、発電機、煙突などを新たに設置し、出力は約75万㌔㍗となる。2029年の着工、32年の整備完了を見込む。  建設地はENEOS川崎事業所(川崎市川崎区扇町12ノ1)内の遊休地約17・2㌶。ENEOSから賃借する予定。京浜運河に面した場所に発電設備を配置し、既設の工業用水道や燃料パイプラインと接続する。  燃料には近隣のLNG基地から調達する天然ガスを使用。発電設備は開放サイクル型ガスタービンと再熱復水型蒸気タービン、発電機、変圧器、圧縮機などで構成する。  この他、タービンから排出した蒸気を液体に戻すための冷却塔、排ガスを蒸気に転換する排熱回収ボイラーなどを設置する。煙突は鋼製円筒型として、高さ100㍍と80㍍の2種類で検討する。  将来的には天然ガスと水素の混焼も視野に入れている。  ENEOSによる既存建物・設備の撤去が終わった後、29~31年に杭打ち、掘削、建屋工事を実施。完了後に機器の据え付け工事を行い、32年の完成を目指す。大型機器や重量がある機器については海上輸送により現場に運び入れる予定だ。  ENEOSグループは50年のカーボンニュートラル達成に向け、従来の石炭燃料からの転換を進めている。28年3月には横浜製造所(横浜市神奈川区)で潤滑油と燃料油の生産を終了。川崎製油所(川崎市川崎区)でもエチレン製造装置の稼働を停止する考えだ。  25~27年度の中期経営計画では低炭素・脱炭素への設備投資として5600億円を計上している。天然ガス発電所の他にも、日本水素エネルギー(東京都港区)、岩谷産業(東京都港区)と共に、川崎市内で水素受け入れ基地を開発。年間数万㌧規模の液体水素を1ノルマル立方㍍当たり30円の供給コストで海上輸送する技術の確立を狙う。