省人化、脱炭素へ「SI型」試行 上限5%で設計変更

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 国土交通省は、受注者の技術提案を踏まえ、予定価格の5%を上限として設計変更を認める新たな発注方式「技術提案評価SⅠ型」の試行を開始する。試行のための要領をまとめ、5月14日付で各地方整備局に通知した。建設現場の省人化や脱炭素といったテーマを例示し、新技術・工法や脱炭素につながる資機材の活用を促進する。試行後にフォローアップを行い、本運用につなげる。  既に山岳トンネル3件での試行を表明している。これら以外にも、適した工種・現場条件の工事で積極的に試行する。  SⅠ型は、従来のS型と異なり、設計図書の軽微な仕様変更(目的物、仮設・工法)を伴う技術提案を認める。価格以外に工期や安全性、脱炭素といった要素を総合的に評価することで、民間の優れた技術・工法を取り入れる。改正品確法に盛り込まれた、価格だけでなく工期や安全性、脱炭素といった要素を加味する「VFM(バリュー・フォー・マネー)」の考え方を反映した発注手法となる。  SⅠ型を適用する事例としては、建設現場の省人化・無人化につながる新技術・工法や、脱炭素に貢献する機材・工法などを例示。交通事故防止や作業員の危険防止をはじめ安全性の高い工法、点検困難箇所への維持管理性の高い仕様なども対象とする。  発注時は、通常の技術提案と、仕様変更を伴う「技術向上提案」でそれぞれ1テーマを求める。受注者に過剰な負担とならないよう、提案を求める対象範囲や段階を明示する。  技術向上提案に要する費用は公告時点の予定価格の5%を上限に発注者が設定し、公告図書に明記する。受注者は提案の実施に要する概算費用を提案書に記載する。  単に資材を別のものに置き換えるような提案は評価対象外だが、競争参加者が自社開発した資材や、国交省の脱炭素アクションプランに記載したリーディング施策の資材活用の提案は認める。提案後に発注者のヒアリングを経て提案内容を改善するような運用も可能。技術提案向上提案の評価点は技術提案全体への配点の2分の1~3分の1。  受注者の提案作成、発注者の審査に時間を要するため、通常のS型よりも手続き期間を長くする公告から開札まで、休日を含めて1・5~2カ月(WTO対象は2・5~3カ月)程度を見込む。  第三者委員会に諮って技術向上提案の採否を決める。採用する場合、受注者の見積もりを踏まえて変更契約を行う。  試行後は、仕様変更の効果や、受発注者にとっての事務手続きの負担、総合評価の配点についてフォローアップ調査を実施。直轄工事での総合評価落札方式の運用ガイドラインへに反映する。