自動物流道路 延長10㌔当たり490億円
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国土交通省は5月16日、東京~大阪間での自動物流道路の実現に向けたコンソーシアムの初会合を開催し、自動物流道路10㌔当たりで490億円、維持管理費に1㌔当たり3400万円がかかるとするシミュレーション案を提示した。整備による収入は年間で約3000億円と試算している。
初会合に出席した中野洋昌国土交通相=写真=は、「物流業界は効率化や担い手不足といった構造的な課題を抱えている」とし、自動物流道路に対して、物流全体の生産性向上やカーボンニュートラル実現の面で期待を寄せた。
自動物流道路は、民間資金を活用して建設する物流専用の道路空間で、既存の高速道路空間などを活用して整備する。深刻化する物流分野の人手不足に対応するため、物流量の特に多い東京~大阪間で整備する。2030年代半ばに一部ルートでの運用開始を目指している。
事業シミュレーションで示した事業費は、建設事業者へのアンケートやNEXCO3社の維持修繕費を基に算出。この結果、本体整備費に10㌔当たり490億円、デポ(小型物流拠点)に延べ床面積100平方㍍当たり3000万円がかかるとし、維持管理費には1㌔当たり3400万円が必要となるとした。
また、初会合では東名・新東名・名神・新名神の各高速道路への設置を想定した、自動物流道路の整備形態案も提示。設置場所については、高速道路上下線間の幅員で判断するとし、幅員が7・5㍍を基準として、地上または地下への設置を決める。地上に設置する場合は車道中央部、地下に設置する場合は高速道路とその周辺も含める。
道路部と橋梁部は、幅員が7・5㍍以上あれば拡幅せず、7・5㍍未満であれば、拡幅した上で地上に設置する。ただし、幅員7・5㍍未満でDID地区(人口集中地区)の橋梁部の場合は、地下に設置する。トンネルの場合は、全て地下に設置する。
一方で、自動物流道路を整備する高速道路のうち、上下線間の幅員が7・5㍍以上なのは、東名高速道路の伊勢原ジャンクション(JCT)~御殿場JCT間、新東名高速道路の海老名南JCT~新秦野インターチェンジ(IC)間、新名神高速道路の甲賀土山IC~草津JCTの一部など、限定的となっている。
運ぶ荷物の大きさは、縦と横がそれぞれ幅1・1㍍、高さが1・8㍍を想定。これに対応する地上の専用道路は、屋根付きの構造物で、幅員1・5㍍の3レーンとした。
また、会合では、自動物流道路の実装に向けた実証実験についても議論した。25年度は、国土技術政策総合研究所の試験走路などを活用し、必要な幅員や加減速に必要な延長、車線変更の実現可能性などを検証。8~9月に実証実験に参加する事業者を募集し、11月~26年2月で実施する予定とした。