職域代表候補の見坂氏「利益率高い建設産業に」

中央
 建設産業の職域代表として、今夏の参院選に出馬する見坂茂範氏(自民党公認候補、比例区)がインタビューに応じ、「若い世代に建設産業を選んでもらうため、この産業で今働く人たちの賃金アップを実現する」との考えを語った。企業が賃金アップの原資を確保できるよう、「建設業を利益率の高い産業にしなくてはならない」と述べ、現場の実態に合わせて現場管理費や一般管理費、標準歩掛を見直し、適正な予定価格を設定するべきだとした。  国土交通省を近畿地方整備局長を最後に退官し、出馬を表明してから間もなく1年がたつ。この間、全国の業界関係者の声を聞き、「建設業界の最も大きな課題は担い手不足。一人でも多くの若者をこの産業に迎え入れなくてはならない」との思いを新たにした。  担い手の確保には、「初任給を引き上げるだけでは十分ではない」と、今、現場で働く技術者・技能者の賃金アップの必要性を感じている。公共工事を受注した企業が賃金を上昇できる原資を獲得できるよう、「低入札価格調査基準価格と最低制限価格の計算式を見直し、落札率を上昇させなくてはならない」と強調する。  さらに、予定価格の積算を見直す必要性にも言及。「猛暑の施工では作業効率が下がり、1日当たりの出来高が減る。工期も延長しなくてはならない」と問題視し、「標準歩掛を補正する必要がある」と訴える。地方自治体が発注する小規模工事についても、標準歩掛が実態と合っていないとの声が強く、「国がひな形を示すなど、小規模施工用の歩掛を整えないと、地方の建設業が利益を確保できない」とも話した。  一方、「建設業界で働く人たちの仕事の量を確保しなくてはならない」とも力を込める。「受注産業の建設業は、会社の経営努力だけで仕事の量を確保しようとしても限界がある。公共工事の事業量を増やすことも私の仕事だ」と公共事業予算の確保に意欲を見せる。  5年間の事業規模を「おおむね20兆円強」とする見通しの国土強靱化実施中期計画は、予算編成過程で毎年度の事業費を決めるとしており、「政治的判断になる。業界の期待に応えられるようにしたい」と話した。  時間外労働の上限規制の適用から1年が経過し、「全国一律の規制ではなく、例外規定をつくるべきではないか」と提案。国交省と厚生労働省に連携を促し、現場の実務や気候に応じて規制を柔軟に運用するよう働き掛ける考えを示した。 【略歴】  見坂茂範(けんざか・しげのり)京都大学大学院工学研究科土木工学専攻修了。1993年建設省入省。福岡県県土整備部長、国土交通省関東地方整備局企画部長、大臣官房技術調査課長などを歴任し、近畿地方整備局長を最後に退官。建設産業の職域代表である佐藤信秋参院議員の後継として、今夏の参院選(比例区)に出馬する。兵庫県出身。56歳。