日本で働く外国人労働者 円安で給与目減りも

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 近年の円安でドル建ての給与が目減りし、外国人材獲得の支障となることを懸念する声が上がっている。一方で、日本の建設業で働く外国人は2024年に17万人を超え、過去最多を更新した。総数ではベトナムが引き続き最も大きな割合を占めたが、伸び率ではベトナムやミャンマーの方が大きかった。相対的に賃金水準の低い新興国からの受け入れが、外国人材の受け入れ人数を底上げしている。  建設分野の人材紹介を手掛けるヒューマンリソシアが建設業就業者の平均年収(23年、ドル建て)を国別に比較したところ、日本は2万9844ドルで主要7カ国中最下位となった。首位の米国は6万4206ドルで、2倍以上の水準だ。  日本の建設業の平均年収は円建てでは前年と比べ6・3%上昇し、処遇改善が進んでいる。ただ、ドル建てでは円安の影響を受けて2・5%減となっていた。  アジア各国の賃金水準の上昇も顕著だ。外国人材獲得で日本と競合する韓国の建設業就業者の平均給与は3万8691ドルで、日本を上回る水準だった=グラフ参照。  円安の進行、外国の所得水準の向上が続けば、相対的に日本の労働市場の魅力は低下する。外国人技能実習機構が24年に技能実習生に行った調査でも「円安で生活が大変だった」といった声が寄せられた。  その一方で、厚生労働省の調べでは、日本の建設業で働く外国人数は24年に17万7902人となり、前年比22・7%増加した。特に技能実習は20・7%増、特定技能は57・9%増となり、技能人材の増加が顕著だった。  増加をけん引したのはインドネシアだった。建設業就労者数は3万6615人でベトナムの6万9995人には及ばなかったものの2番目となり、伸び率は55・4%で最も高かった。  この他、ミャンマーが36・9%増の8758人、ネパールが34・4%増の2514人となった。円安が進行する中で、比較的賃金水準の低い新興国で受け入れが堅調に拡大した形だ。  とはいえ、為替リスクは今後も残り、送り出し国の賃金水準の向上も続く。中長期的に日本が「選ばれる国」であり続けるには、受け入れ環境のさらなる改善が欠かせない。  27年までには、現行の技能実習制度に代わる育成就労制度が施行される。特定技能の入り口という役割が強まり、外国人材にとっては賃上げを伴うキャリアアップの道筋を描きやすくなる。OJTや日本語教育の拡充を含め、持続的な外国人受け入れの取り組みが今後、ますます重要になる。