建機に次世代燃料活用 「ゼロエミッション」試行

中央
 国土交通省は、建設機械の燃料として軽油に代わって次世代燃料を用いる「ゼロエミッション促進モデル工事」を2025年度に試行する。対象はICT活用工事を想定している。化石燃料ではない「軽油代替燃料」を活用し、建機の稼働に伴うCO2排出量を削減する。  建設現場から直接排出されるCO2を減らす取り組みの一環として、5月26日に開いた建設施工の地球温暖化対策検討委員会で表明した=写真。国交省の森下博之参事官は「直轄工事で先行してCO2削減に取り組まなくてはならない」と述べ、脱炭素に向けた取り組みに意欲を見せた。  生物由来の代替燃料に含まれる炭素は、原料の植物が大気からCO2として取り込んだもののため、燃焼させても大気中のCO2量は実質的に増加していないと見なされる。従来の化石燃料に代わって用いることで、施工段階のCO2排出量の大幅な削減が期待できるという。  試行工事では、現場内で稼働する建機などを対象とし、技術者・技能者の移動のため公道を走る自動車などは対象としない。軽油代替燃料を軽油と混合することも認めるが、その場合は軽油代替燃料を5%超の割合で混合することを求める。  ただし、排出ガス規制への対応を担保するため、使用する建機のメーカーが推奨する燃料を使用することを前提とする。  現行では、廃食油を主原料としたバイオディーゼル燃料が広く使われている。ゴム製品や金属腐食のリスクがあるため、高濃度の使用には制約がある。  一方、軽油とほぼ性状が変わらない軽油代替燃料としては、HVO(水素化処理植物油)がある。植物油を水素化分解したもので、車両機器に影響する物質が含まれていないことから、5%超の混合へのハードルは低い。コストは従来品よりも高価になる。  クリーンな航空燃料として活用が進むSAFの製造過程でHVOも生産されるため、今後は価格の低下・生産増が期待される。  試行工事では、軽油代替燃料を使用する他、GX建機認定を受けた型式の電動建機を使用することも認める。  GX建機の認定制度は23年度に開始したもので、一定の要件を満たす電動のショベルやホイールローダ、ホイールクレーンをメーカーが申請し、型式認定を受ける。これまでに電動ショベル19型式、電動ホイールクレーン1型式を認定している。