地下インフラの点検結果 道路管理者への報告義務化

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 国土交通省は、上下水道管路などの道路を占用している地下インフラ事業者に対し、点検・維持管理状況を道路管理者に定期的に報告することを義務付ける。埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故の反省を踏まえ、地下インフラの健全性を担保できるようにする。2026年度から適用する。  八潮市の道路陥没事故では、老朽化した下水道管路の破損が大規模な道路陥没につながったとされた。これを受け、国交省の有識者会議は地下占用物の点検結果の報告を義務化するよう提言していた。  現行では、道路を占用している事業者に対し、適切な維持管理は求めているものの、点検結果の報告までは求めていない。直轄国道では占用期間の更新時に書面提出を求めているが、同様の取り組みは都道府県で全体の約6割、市区町村で約2割にとどまる。  そこで、道路法施行規則を改正し、道路を占用する事業者に対して通常5年間の占用許可の更新時に、安全性を確認した報告を求める。占用期間が10年のライフラインについては5年おきの報告を義務化する。  対象は上下水道管路やガス管、通信ケーブルをはじめとした地下インフラだけでなく、電柱や看板といった地上の占用事業者も含む。  八潮市の道路陥没事故を受けて、道路を占用するインフラ事業者と道路管理者が協議するための連絡会議が全都道府県に設置された。道路法施行規則の改正では、こうした会議でインフラ事業者が定期的に占用物件の点検の実施状況、結果、維持管理の現状について報告することも求める。  連絡会議は都道府県ごとの道路メンテナンス会議の中に設置した。地下インフラの管理者に報告義務を課し、連絡会議をその報告の場とすることで、着実な点検を占用事業者に促す。  一連の制度改正に向け、道路法施行規則を改正する省令を26年4月に施行する。  国交省の有識者会議は、点検結果や補修状況、敷設年度といった情報をデジタル化して一元管理する仕組みの構築も提言した。今後は、占用事業者の報告結果を蓄積し、道路の陥没履歴などの情報と重ね合わせて活用することも検討する。