事業単位のデータ共有基盤構築 国交省
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国土交通省は6月4日、個別の工事ではなく事業の単位で受発注者がデータを共有するための基盤「プロジェクトCDE」の具体化に向けた検討会の初会合を開いた。有識者に加えて建設業団体、建設関連業団体、静岡県も参加し、データ活用による関係者間の連携の効率化、高度化を目指す。各地方整備局のi-Constructionモデル事務所で実装に向けた課題を洗い出す。
土木事業では、過年度の業務・工事成果や修正設計などの履歴、地元との調整状況などを基に発注者が事業監理・工程管理を行っている。管理方法は担当者によってまちまちで、異動によって持続性が担保できなかったり、受注者からの問い合わせに迅速に応じられないといった課題があった。
一方、個別の工事単位では、受注者が契約した情報共有システム(ASP)を介して受発注者がやりとりする。工事の完成とともに契約を終了するため、打ち合わせの履歴などのデータは失われる。
出来形など成果物のデータは、国交省の電子納品・保管管理システムに納められるが、実施中の事業監理や工程管理に柔軟に生かせる仕組みになっていない。
そこで、新規事業化してから調査、設計、複数の工事発注と監督・検査までを対象に、関係者が情報を共有できる新たなデータ基盤の整備を検討することにした。今後、電子納品・保管管理システムの拡充で対応するか、新システムを構築するかについても検討する。
すでに国交省は、i-Conモデル事務所で25年度から試行を開始する方針を示していた。試行結果を基に運用ルールの検討を進め、27年度以降の本格導入を目指す。
受注者の業務の進め方にも関わるため、日本建設業連合会や全国建設業協会といった建設業団体、建設コンサルタンツ協会や全国測量設計業協会、全国地質調査業協会連合会といった建設関連業団体からも委員が参加。必要なデータやその共有方法について話し合う。
さらに、BIM/CIMソフトや施工管理ソフト、ASPの関係団体も委員となり、CDEの在り方や受注者側のシステムとの連携方法についても検討する。CDEと連携し、受発注者双方の生産性向上につながるようなアプリの開発も視野に入れる。
4日の検討会では、CDEに蓄積するデータの内容や形式について業界団体に意見照会を行うことを決定。提案結果を踏まえ、地方整備局のi-Conモデル事務所も参画する作業部会で具体化方策を検討する体制とした。