第1次「実施中期計画」決定 持続的な強靱化へ一歩

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 政府は6月6日、第1次国土強靱化実施中期計画を決定した。推進が特に必要な114施策を実施するために必要な事業規模として、2026年度からの5年間でおおむね20兆円強が必要なことを明記。強靱化に向けた初の法定計画であり、予算措置の裏付けとなる。今後の資材価格や人件費の高騰といった影響は毎年度の予算編成過程で反映する。  政府は国土強靱化に向けてこれまで、18年度から始まる3か年緊急対策、21年度から始まる5か年加速化対策を進めてきた。今回決定した第1次実施中期計画は、23年に成立した改正国土強靱化基本法に基づき、強靱化施策の実施に法的な裏付けを与えるものとなる。  第1次実施中期計画では、今後30年以内に8割程度の確率で発生する南海トラフ巨大地震に備えるため、おおむね20年~30年を目安として推進が特に必要な114施策を設定。施策の進ちょくの評価のため、234の指標を設けた。実施すべき強靱化対策に一定の見通しを示した形だ。  施策の柱ごとに必要な事業規模も示し、▽防災インフラの整備・管理に5・8兆円▽ライフラインの強靱化に10・6兆円▽デジタル等新技術の活用に0・3兆円▽官民連携強化に1・8兆円▽地域防災力の強化に1・8兆円―が必要になるとした。  能登半島地震の教訓を踏まえ、半島や離島といった条件不利地域での陸海空の交通ネットワーク強化を進める。  埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故を受けて、、上下水道施設の戦略的維持管理・更新も明記。下水道管路の全国特別重点調査の対象となっている全国の大口径下水道管路(延長約5000㌔)の健全性を30年度までに100%確保するとの目標も掲げた。  毎年度、事業の進ちょくをフォローアップする。事業実施に際し、財政需要に安定的に対応するため、財源確保策についても検討する。