技術者交代のルール見直すべき 「企業として若手サポート」

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 今年4月に施行された改正育児・介護休業法では、育児休業の取得状況の公表義務を従業員300人超の企業に義務付けたほか、介護休暇を取得できる労働者の要件を緩和した。ライフステージの変化に応じた柔軟な働き方を求める声が強まり、段階的に企業への規制が強化されている。ただ、監理技術者として現場に専任されている技術者にとっては、入札時の要件などによって、出産・育児・介護などの理由があっても、工期途中での途中交代は容易ではない。  国土交通省の監理技術者制度運用マニュアルでは、監理技術者を交代できる一般的な条件として、出産・育児・介護・退職などと明示している。ただ、技術者の過去の実績に入札時の要件としていたり、総合評価落札方式で加点を受けていたりする公共工事では、途中交代を入札前に示した範囲にとどめるべきとしている。  このため、公共工事の発注者は、適正な施工を確保するために可能な限り同じ資格・経験のある技術者の交代を求め、同じ要件を満たしていない場合に工事成績評点を減点するケースもある。  建通新聞電子版で5月26日~6月9日まで行ったアンケートでは、技術者の途中交代のルールを見直すべきと考えている回答者が94・7%を占めた=グラフ参照。自由回答でも、育児休業のとれない若手の離職を不安視する声や、人手不足が深刻化する中で柔軟な途中交代を求める声が強い。  回答の中には、途中交代時に代わりの技術者に求められる基準が施工実績しかなく、「経験の少ない若手技術者に変更できない」として、「資格保有者であれば変更を認めるべき」との意見もあった。品質管理や安全管理といった若手技術者が担う役割は「会社としてのサポートが十分であれば問題ない」とも主張している。  また、「品質管理は当然重要なことであり、確かな経験と実績のある技術者の配置が望ましい」と前置きしつつ、「このことばかりに拘泥しすぎると社会混乱が生じる」とも指摘。「発注者にも優秀な技術者がいないのに、受注者にばかりこれを求める制度は片務的」と改善を求める回答もあった。