自治体独自の歩掛設定 入契調査で実情把握

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 国土交通省は、2025年度の入札契約適正化法に基づく実施状況調査で、新たに自治体独自の歩掛りの設定状況を調べる。市区町村の小規模工事には、特有の手間があるとして、独自の歩掛り設定を求める建設業界の声があり、全市区町村を対象とした入契調査で網羅的に実情を把握する。  入契調査は、入契法の適正化指針に基づく措置について、公共発注者の実施状況を調べるもの。財務省、総務省と共同で毎年実施しており、25年度は6月1日時点の状況を調査する。  対象は省庁など19団体、高速道路会社など特殊法人120団体、都道府県・市区町村1788団体が対象。6月16日に調査票を発出した。12月をめどに調査結果を公表する。  今回の調査では、国交省の直轄工事で用いる標準歩掛りと異なる、独自の歩掛りの採用状況を調べる。  特に自治体は工事発注に際して国交省の標準歩掛りや、標準歩掛りを基にした都道府県の歩掛りを使用するケースが多い。しかし、直轄工事はロットが大きく、小規模工事に特有の手間や、地域の実情・条件を反映できていない。結果として、予定価格と実勢価格との乖離(かいり)を指摘する声が多い。  都道府県の一部では、直轄の標準歩掛りに加えて独自の歩掛りを作成している。一方、市区町村はマンパワーが足りず、独自の歩掛りを設定している例は少ないと見られる。  国交省は別途、委託業務を通じて独自の歩掛りを設定している自治体に対して作成手順や作成の経緯、課題などに関するアンケート調査や、建設業界へのヒアリングを行っている。全市区町村を対象とした入契調査で独自歩掛りの設定の有無を調べ、自治体ごとに深掘りする委託調査の結果と合わせて実情を把握する。得られた成果は事例集やガイドラインなどの形にまとめることを検討している。  都道府県を対象とし、市区町村の発注職員の育成支援状況についても新たに調査する。改正入契法の適正化指針に「発注体制の整備」が追加されたことを受け、実施状況を調べる。都道府県が講習会を開いたり、研修に市区町村の職員を受け入れたりしているかや、民間研修機関の活用促進にとり組んでいるか聞く。  小規模な市区町村は技術職員の不足が深刻化しており、発注関係事務の実施に必要な知識を備えた職員の確保が課題となっていた。まずは都道府県による支援状況を把握し、地域の実情に沿った助言や支援を行う。  品確法に基づき、測量・調査・設計といった業務委託の実施状況に関する実態調査も行う。17日に調査票を発出した。この調査でも、市町村の発注職員の育成支援に関する都道府県の取り組み状況を新たに調べることにした。