あるべき建設業経営を議論 政策勉強会が初会合

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 国土交通省は6月26日、今後の建設業政策の在り方に関する勉強会の初会合を開いた。平田研不動産・建設経済局長=写真=は、将来の担い手不足という課題を受けて「労働市場での評価が非常に影響する場面で、企業の経営はどうあるべきか」とテーマを提示。求められる建設企業の姿や企業に対する評価基準を議論し、中長期の政策の方向性を示す場とする。  2017年に10年間の政策課題をまとめた「建設産業政策2017+10」を念頭に、新たな産業政策の柱を打ち出す。  平田局長は、近年の建設業政策について「担い手の確保を非常に大きなテーマとしてきた」と述べ、改正建設業法による価格転嫁ルールの整備や標準労務費の作成に取り組んできたことを説明。  一方で、災害の激甚化・頻発化やAIの進化、スタートアップ企業の隆盛といった建設業を取り巻く環境の変化に対し、「技術と経営に優れた建設企業とはどういう企業なのか」を改めて考える必要があるとした。建設工事の本質を請負契約とした上で、「様々な課題、変化を乗り越えてさらに建設業が発展していくため」の議論を呼び掛けた。  勉強会の主なテーマには、「これからの建設業に求められる企業の在り方」「建設業を支える人的資源のマネジメントの在り方」「今日的な企業評価の在り方」を掲げた。7回の会議を経て25年度末に成果をまとめる。  担い手確保を引き続き重要課題としつつ、労働者個人よりも企業経営に焦点を合わせた議論とする。建設業を支える技術者・技能者といった人的資源について「確保・配置・マネジメント」のあるべき形を考える。  施工力確保を目的に元請けが技能者を直接雇用する事例や、事業承継ニーズの高まりから建設業のM&Aが活発化している現状もあり、担い手確保に向けた企業の経営戦略が論点となりそうだ。  平田局長は、建設投資が大きく減少した1990年代から2000年代に「財務面をはじめ経営的な要素が重視された」と発言。担い手確保に直結する労働市場での評価が、企業にとって大きな影響を持つようになった現在において「企業の経営はどうあるべきか、ぜひ議論を進めたい」と述べた。  座長は弁護士の大森文彦氏。国交省で不動産・建設経済局長などを歴任した青木由行不動産適正取引推進機構理事長をはじめ、木村駿日経BP日経アーキテクチュア編集長、櫻井好美アスミル代表、堀田昌秀東京大学大学院教授、丸山優子山下PMC代表取締役社長、和田雅彦日本政策投資銀行都市開発部長が委員となる。帝国データバンクなど、必要に応じてテーマごとに知見のある実務かを臨時委員として招く。  建設業界からは日本建設業連合会、全国建設業協会、全国中小建設業協会、建設産業専門団体連合会がオブザーバーとして参加する。