チルトローテータ試行活用 直轄で省人化効果を検証

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 国土交通省は2025年度、直轄工事を対象としてチルトローテータ付き油圧ショベルを活用した試行工事を開始する。既発注工事を含めて受注者の希望を募り、適用可能な作業内容・箇所で導入。建設現場を省人化する効果を確かめ、適した施工条件や作業内容を考える。試行工事は26年度にかけて実施し、27年度以降に活用を本格化する。  チルトローテータを備えた油圧ショベルは、バケットの先端部を回転させたり、傾けたりできる。掘削面に正面から向き合わなくても細部まで刃先が届くため、作業スペースが狭あいな現場でも、人力作業に頼らずに細かな施工が可能となり、現場の省人化につながる。建機の細かな位置調整が不要になるため、作業時間の短縮効果も期待されている。建機の移動を減らすことで、配置位置を限定し、機材の大型化により施工効率を高める効果もあるという。  試行工事では、国交省が24年度に新設した制度に基づき、省人化建設機械として認められたチルトローテータ付き油圧ショベルを活用する。試行要領を作成し、チルトローテータの特性を生かせる小規模な掘削・積み込みなどの作業を対象とすることにした。工種は土工の掘削や積み込み、床掘工、埋戻工、砂防の土工などを想定している。  施工者希望方式とし、受注者から希望があった場合に監督職員と協議して契約変更の対象とする。地整ごとに目標件数を定めるような試行とはせず、まずは意欲ある受注者の取り組みを促し、チルトローテータの活用効果を確認する。  試行工事の対象となった場合には、受注者に対してヒアリングやアンケート調査などを実施し、効果をフォローアップする。  省人化建機の認定制度は、国交省が24年度に開始した。i-Construction2・0で目標とする「40年までに省人化3割」の達成に向け、必要な人工(人日)を3割以上削減する基準を満たす建機を認定する。今年4月には初弾として、コベルコ建機、クボタ建機ジャパン、コマツ子会社のEARTHBRAINのチルトローテータを認定した。認定されると、規定のラベルを機体に貼付できる。  試行工事では、申請時に算定される省人化効果を踏まえつつ、実際の効果や活用に向けた課題を検討する。安全上の課題や対策についても調査・整理する。  試行結果を踏まえ、チルトローテータを活用する上でターゲットとすべき工事や現場条件を考える。ICT建機認定制度などの省人化基準の見直しも検討する。