建設Gメンが対応を調査 価格転嫁の円滑化ルール 

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 国土交通省は、建設Gメンの2025年度の活動方針を決めた。改正建設業法に基づき、資機材価格が高騰した際の価格転嫁の円滑化ルールが昨年12月に始まったことを踏まえ、受発注者の対応状況を調べる。不適切な実態を指導し、適正な取引を促していく。  建設Gメンによる実地調査を効率化するため、活動の端緒となる書面調査を昨年度に引き続き大幅に拡大する予定で、対象は約3万者を見込んでいる。各地方整備局に設けている駆け込みホットラインへの通報も活用。実地調査で法令違反が明らかになれば、強制力のある立ち入り検査も行う。  実地調査の柱には、適切な価格転嫁を位置付けた。昨年12月に施行された価格転嫁の円滑化ルールでは、資材価格の高騰など請負代金額・工期に影響するような「おそれ情報」を注文者に契約前に通知することを建設業者の義務とした。実地調査では、建設業者の通知状況を調べる。  さらに、実際に資材が高騰したときは発注者に対して受注者との誠実な協議に応じる義務が課される。変更協議を申し出るための契約条項の設定や、受注者から注文者への変更協議の申し出、申し出を受けた注文者の対応といった状況も調査する。  労務費についても、適切転嫁に向けた価格交渉指針に基づいて注文者が取り組んでいるかを調べる。注文者が指針に沿わない行動は独占禁止法に触れる恐れがあり、必要に応じて公正取引委員会に情報提供する。  今年12月には改正建設業法が全面施行され、「労務費の基準」を著しく下回るような見積もり・見積もり依頼が禁止される。法施行を見据え、注文者による一方的な指値といった従来からの禁止事項に加え、注文者による見積額の大幅な減額、受注者によるダンピングも調査対象とした。  当初見積もりと最終見積もりを比べて見積額が大きく減っていないか、人工数・歩掛りといった算出根拠が不適当でないかも確認する。  下請け代金の支払い状況も調べる。注文者が手形の割引料のコストを一方的に受注者に押しつけるケース、昨年から規制対象となった現金化まで60日超の手形を発行しているケースも調査する。労務費相当分の現金での支払い状況も把握する。  工期に関する基準に基づき、受注者が時間外労働規制に対応した工期を見積もっているか、注文者が見積もり内容を尊重しているかどうかも調べる。  10~12月を集中月間と位置付け、活動を重点化する。賃金支払い状況は労働基準監督署、請負代金(総価)に対する不当行為は公取委と連携し、対策の実効性を高める。 ■24年度のGメン調査、初の千件超  24年度に建設Gメンが実施した調査は1143件で、初めて1000件を超えた。法令違反に対する疑義情報は3811件受け付けた。特に駆け込みホットラインを通じた通報が増えた。この結果、1業者が建設業許可を取り消された他、14業者が営業停止、16業者が対応などの指示、649業者が勧告・文書指導を受けた。  指導対象は発注者15業者、元請け399業者、下請け235業者。見積もりに関する指導が53%で最多となり、次いで契約書の記載が43%、労務費指針関係が40%と続いた。