ICT施工の原則適用 舗装・地盤改良工で検討

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 国土交通省は、直轄工事のうち舗装工・地盤改良工を対象に、ICT施工の原則適用に向けた準備を進める。このため、まずは発注者指定によるICT化の対象範囲を拡大する。2027年度にも2工種でICT施工を原則化する。  直轄工事では25年度から土工、浚渫工(河川)、浚渫工(港湾)でICT施工を原則、発注者指定で実施している。舗装工、地盤改良工の原則化はこれに続くもの。発注者指定の対象工事を拡大し、これまでICT施工に取り組んでいなかった比較的小規模な現場を含めて生産性を高める。  舗装工は24年度に451件の入札を公告し、75%に当たる337件でICT施工を実施した。内訳は発注者指定65件と施工者希望272件。現行では面積1万平方㍍以上の工事で総合評価での加点がある施工者希望型を適用しており、さらに面積1万平方㍍以上・予定価格3億円以上の工事に発注者指定を適用している。  26年度は、面積・価格要件の両面で適用要件を緩和し、発注者指定で発注する工事を拡大する。施工者希望によるICT施工の実施状況などのデータを検証し、発注者指定の拡大範囲を決める。  対象は、舗装工や付帯道路工に含まれる、アスファルト舗装工▽半たわみ性舗装工▽排水性舗装工▽透水性舗装工▽グースアスファルト舗装工▽コンクリート舗装工―。  地盤改良工は24年度、173件の工事を公告し、このうち86%に当たる149件でICT施工を適用した。148件と大半が施工者希望型だったが、生産性向上のメリットが大きいこともあってICT施工の実施率が高かった。  原則化を見据えた段階的な措置として、26年度から数量を問わず、一定以上の予定価格であれば発注者指定を適用する方向だ。  ICT地盤改良工の対象は▽路床安定処理工▽表層安定所履行▽固結工(中層混合処理)▽b固結工(スラリー攪拌工▽バーチカルドレーン工(ペーパードレーン工)▽サンドコンパクションパイル工―。  このうち軟弱地盤を施工するサンドコンパクションパイル工は25年度からICT施工の適用を開始した。杭打機の施工履歴データを用いた出来形により杭間距離の掘り起こし作業を省略できるようにするなど、省力化の効果は大きい。  原則化により、これまではICT建機の導入が進んでいなかった比較的小規模な現場でもICT施工を実施することになる。中小建設業を対象とした専門家派遣による助言・指導や、各地方整備局の技術事務所で実施している研修を通じてICT施工の実施を後押しする。