「新労務単価踏まえて」 民間発注者への周知拡大 盆暮れ通達

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 国土交通省は8月1日、資金需要が増大する夏期に合わせ、適正な下請け契約と代金支払いを求める〝盆暮れ通達〟を建設業団体と官民の発注者に送付した。今回は民間発注者団体の送付先を拡充。3月から適用している公共工事設計労務単価が全国全職種平均で前年度比6・0%上昇したことに触れ、民間工事においても新労務単価を踏まえた適正な請負代金での契約を求めた。  通達では、工事の品質確保には技能者の確保・育成が不可欠だとし、持続的な賃上げが可能な環境整備を促した。発注者、元請け、下請けそれぞれが新労務単価を踏まえた請負代金での契約が必要だとし、建設業団体と公共・民間の発注者に対応を求めた。  建設業団体への通達を見ると、下請けから注文者(元請け・上位下請け)に見積書を交付する際、労務費や法定福利費、安全衛生経費に加え、材料費と機械経費、建設業退職金共済制度の掛金についても適切に考慮するよう求めた。  特に建退共掛金の確保については、品確法基本方針や入契適正化指針、改正建設業法に基づくICT活用指針に電子申請方式の積極活用が位置付けられたことを明記。元請けに対し、下請けと連携して建設キャリアアップシステムと連携した電子申請方式を積極的に活用するよう促している。  建設業団体に対しては、業務の繁閑差への対応と長時間労働の是正を両立させる方策として、柔軟な労働時間設定が可能な「変形労働時間制」を改めて周知した。  建材製造や設計図書の作成など、取適法(改正下請法)の対象となる業務委託への支払いについては、2026年1月から手形の交付が禁止されるとし、留意を呼び掛けた。  建設業法上の規定に抵触する恐れのある取引に対しては、各地方整備局に設けている駆け込みホットラインで通報を受け付けていることも改めて周知した。通報者が希望すれば、通報元を秘匿し、関係者に特定されないよう、建設Gメンによる調査方法を工夫すると説明。通報する建設業者の不安の解消につなげる。  合わせて、都道府県の建設業担当部局に宛てた通達でも、駆け込みホットラインへの通報者が希望すれば特定されないような調査方法を取ることを説明し、理解を求めた。