建退共事務の履行確認 「CCUS活用を検討」44%

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 国土交通省が全国の地方自治体を対象に、建設業退職金共済制度の事務の履行確認状況を調べたところ、建設キャリアアップシステム(CCUS)の就業履歴について「今後活用を検討している」との回答が44%を占めた。10月からは建退共とCCUSの完全連携を予定しており、履行確認の徹底に生かすとともに、CCUSの自治体工事での活用を後押ししていく。  調査の対象は全国の都道府県と政令市、特別区、人口10万人以上の市、全国9ブロック(北海道、東北、関東、北陸、中部、近畿、中国、四国、九州・沖縄)の人口上位10位までの市。1~2月にかけて、各自治体の発注工事での建退共事務の実施状況を確認した。  発注者は建退共事務の履行確認のため、工事の完成時に元請けに対し、建退共制度の対象労働者数や延べ就労人日を示す「掛金充当実績総括表」の提示を求めることとしている。必要に応じて工事別共済証紙受払簿などの付属書類の提示も求める。  国交省の調べでは、工事完成時にこうした書類提示を行っていない自治体は16%だった。提出書類が掛金充当実績総括表のみの団体は14%、工事別共済証紙受払のみの団体は22%、両方の提出を求めているのは24%だった。独自様式の提出を求めている団体も15%あった。  書類提示を求めていない自治体に理由を聞くと、「口頭で履行状況を確認しているため」が53%で最多だった。次いで「事務の負担が増えるため」が27%と多かった。  書類提示を行っていない自治体は、市区では18%を占め、都道府県(5%)や政令市(0%)と比べて割合が高いことも分かった。  CCUS登録技能者が工事従事者の過半数を上回っていた場合、就業履歴の蓄積状況を把握して建退共事務の履行確認にも活用できる。しかし、国交省の今回の調査では、履行確認で「CCUSをほとんどの工事で活用している」「一部の工事で活用したことがある」と回答した自治体は7%にとどまった。活用していない理由としては、「元請け事業者がCCUSを利用していないことが多いため」が最多で55%となった。「今後活用を検討している」という団体が44%あった一方、「活用しておらず活用する予定もない」も49%を占めた。  元請けによる建退共事務の不適切な運用状況についても調べた。こうした事例が「ある」との回答は4%で、その全てに指導を実施していた。  電子申請方式の掛金収納書や口座振替申込受付書類など、電子申請方式に関する確認書類を受け取ったことのある自治体は26%だった。都道府県の48%、政令市の40%に対し、市区は22%と低かった。  工事契約後に証紙購入状況を確認した際、必要な枚数を購入していないにも関わらず指導していない自治体は4%だった。