建設業の役割、アニメで発信 「未来補完計画」制作開始

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 老朽化でインフラが崩壊した2040年を描き、建設業の必要性と魅力を子ども世代に発信する教育アニメ映画「未来補完計画」(未来補完プロジェクト実行委員会)の制作が始まった。全国の学校で無償上映し、社会課題に気付きを与えるとともに、将来の職業として建設業に関心を持ってもらうきっかけとする。2027年春に公開する。  小中学校や高校で、生徒が自ら課題を見つけ、解決する力を育む「総合的な学習の時間」などに上映する。アニメ映画で関心を高め、その後のディスカッションでインフラ老朽化という社会課題への理解を深めるとともに、将来の職業選択、キャリア形成の在り方を考えてもらう。企業との交流や、生徒のアイデア発表の場を設けるなど、上映後も生徒と社会の接点をつくる。生徒の職業観の形成に大きく影響する学校の教員、保護者も巻き込む。  元放送作家として著名な鈴木おさむ氏を総合プロデューサーに迎え、オリエンタル白石の100%子会社「クリエイティブ・ラボ」が企画。建設業振興基金と建設産業人材確保・育成推進協議会(人材協)が広報活動に協力する。全国国立大学付属学校PTA連合会や全国高等学校PTA連合会などの協力も得ている。  実行委員長の岩本靖氏は「アニメという親しみやすい形で保護者や先生、子どもたちが社会課題に気付き、考え、行動するきっかけを作りたい」と意気込みを語った。  アニメ映画では、人口減少やインフラ老朽化による課題が顕在化する「2040年問題」を取り上げる。子どもが現在と荒廃した未来を行き来する中で、社会課題を認識し、解決に立ち上がるストーリーとする。公式ウェブサイトでの異なる結末の配信、SNSとの連携など、学校だけで完結しないような工夫も凝らす。  26年冬に特別試写会・劇場公開を予定。27年春から全国の教育機関で上映・配信を開始する。  人材協が高校3年生を対象に行ったアンケートでは、小中学生の段階から建設業界に関心を持つことがその後の進路、入職に大きく影響することが示された。学校でのアニメ映画上映を通じて建設業の役割を発信する今回の試みは、限られた人材を企業間で奪い合うのではなく、将来の人材の裾野を広げようとする新たな担い手確保のアプローチと言える。  映画制作に当たり、実行委員会はスポンサーを募集している。建設業界向けは協賛金2000万円のプレミアムパートナーとして5社、100万円の協賛パートナーとして30社の枠を設定。映画のエンドロールでの企業名掲載、公式サイトでの広告掲載などの特典を用意する。  関心のある学校・PTA団体の登録も募集している。工業高校などにも連携を呼び掛けている。