「労務費の基準」初弾は23職種以上
中央
改正建設業法に基づく「労務費の基準」の作成に向けて、23の職種別意見交換会で議論が進んでいることが分かった。今後、さらに複数の職種で意見交換を予定していることから、11月にも国土交通省の中央建設業審議会が勧告する初弾の労務費の基準は23職種以上となる見通しだ。改正法が全面施行される12月以降、基準を著しく下回るような見積もり・見積もり依頼は法違反となる。
労務費の基準は、公共工事設計労務単価に直轄工事で用いる歩掛かりを乗じて算出し、単位施工量当たりの金額として示す。工種ごとの標準的な規格・仕様についてのみ労務費の基準を作成することが基本となるため、実際の見積もり時には当事者間で必要に応じて補正する。都道府県別に設定し、公共工事設計労務単価や歩掛の改定と連動して年1回程度、見直すことを基本とする。
基準を建設業者が価格交渉の参考とすることで、労務費に一定の相場観を形成する狙いがある。「著しく下回る」場合に行政が指導・監督するための指標としても活用する。
労務費の基準を議論する職種別意見交換は、型枠・鉄筋・住宅分野を皮切りに順次拡大してきた。意見交換を行っているのは8月6日時点で23職種(=表参照)となっており、準備が整えば11月の中建審での作成・勧告までに複数職種が追加となる見通し。
これまでに職種別意見交換では、「一定の根拠を持った目安として、まずは基準を策定することを優先させる」といった意見が出ていた。住宅分野については、公共工事で適用される歩掛が存在しないため、別途に歩掛調査を行っている。
8月6日に開いた中建審のワーキンググループでは、先行する職種で議論している労務費の基準案も示された。
いずれも東京都の例で、鉄筋工事(建築)の場合、RCラーメン構造階高3・5~4・0㍍程度、形状単純の鉄筋加工・組立作業を標準的な規格・仕様とする。鉄筋工と普通作業員でそれぞれ歩掛に設計労務単価を乗じた値を足し合わせると、基準(素案)は1㌧当たり7万1472円となる。
圧接工事の素案は、鉄筋径D25―D25のガス圧接を標準的な規格・仕様とし、溶接工・普通作業員の歩掛と設計労務単価から1カ所588円とする。
型枠工事(建築)の素案は、ラーメン構造地上軸部階高3・5~4・0㍍での普通型枠合板を標準的な規格・仕様とし、型わく工・普通作業員の歩掛と設計労務単価から1平方当たり5291円とした。型枠工事(土木)の素案は、鉄筋・無筋構造物の一般型枠を標準とし、型わく工と普通作業員、土木一般世話役でそれぞれ歩掛と設計労務単価を乗じて足し合わせる。基準は1平方㍍当たり8661・3円とする。