工事請負の電子契約に指針案 「立会人型」の適法性明確化
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国土交通省は、建設工事の請負契約に「立会人型」の電子署名が利用可能なことを明確にする。立会人型の民間サービスを利用する地方自治体や建設企業が増加している実態に合わせ、「電磁的方法による建設工事の請負契約の締結に係るガイドライン」を改正する。改正案に対する意見を募った上で、9月にも施行する。
建設工事の請負契約を締結する際は、建設業法に基づき請負契約書を当事者間で交わす必要があり、このとき、署名または記名・押印が求められる。
電子契約については、契約書のファイルを表示・出力できる「見読性」や、中身が改ざんされていないことを確認できる「原本性」、契約の相手方を本人と確認できる「本人性」が必要であることをを建設業法施行規則と現行のガイドラインで求めている。しかし、ガイドラインは作成から20年以上が経過しており、産業界からは政府の規制改革会議において、近年の技術動向を踏まえた見直しを求める声が上がっていた。
見直しのポイントは、現行のガイドラインでは適法性が不明確だった「立会人型」の電子署名が利用可能なことを明確化すること。契約の当事者がそれぞれ電子署名を付与する「当事者型」と異なり、「立会人型」はサービス事業者が契約当事者の指示を受けて電子署名を行う。既に建設工事の請負契約でも使われているが、政府のグレーゾーン解消制度でサービスごとに個別に適法性を確認する事業者も多く、負担となっていた。
新たなガイドライン案では、電子署名の方式について、第三者の介在なく契約する「当事者署名型(ローカル署名)」と、第三者のサービスを介して自らの署名鍵で契約する「当事者署名型(リモート署名)」、第三者の署名鍵を用いて契約する「事業者署名型(立会人型)」に整理。立会人型のサービスを利用する際は、ユーザーの意思による暗号化が担保されるサービスを利用することや、2要素認証の利用が望ましいことを盛り込んだ。
ガイドラインの見直しにより電子契約に関する規定内容を明確化し、電子契約の普及に向けた環境を整備する。事務負担の軽減を通じ、建設業全体の生産性向上にもつなげる。