「人」 神田忠士さん 国土交通省名古屋国道事務所長

中部

神田忠士さん

 29年前に入省して以来、瀬戸内地域を中心にキャリアを積み、初の東北勤務を経て現職に。前任の復興庁で感じた、被災地の置かれた状況を「公共施設が壊れただけでなく、産業が、生活が、壊れていた」と表現。それらの再生に携わり「災害からは、いろいろな面での復興が必要だと身に染みた」と言う。  畑違いの人間たちが集まり、自身も国交省からかけ離れた仕事に取り組む環境。同僚からこぼれる愚痴をなだめながら、自らも「時折、どこにたどり着けば復興なのか、分からなくなった」と当時の葛藤を吐露した。  その一方で、「三陸沿岸道路ができてよかったよ」という感謝の言葉や、企業誘致に成功した自治体首長から喜びの声を受け取り、ハード整備の重要性を再認識。「道路行政から離れて、かえって道路の力を間近に感じることができた」と東北勤務を振り返った。  道路行政に携わるきっかけは、大阪で過ごした学生時代にある。大学で土木を学ぶ傍ら、神戸や大阪で進む大規模事業を目にして「土木ってすごいな」と、大きな事業に関わることへの憧れからこの道を選んだ。  3度目となる所長就任で心がけるのは『初心忘れるべからず』のモットー。「ベテランの年齢ではあるが、2年間道路から離れ、初めての土地で、新鮮な気持ちで職責を果たしたい」と前向きな姿勢を強調した。(報道部=目次慎) 【略歴】大阪大学大学院修了。96年建設省入省。16年内閣府沖縄総合事務局開発建設部企画調整官、17年四国地方整備局高松港湾・空港整備事務所長、21年中国地方整備局広島国道事務所長、23年復興庁岩手復興局次長などを経て現職。和歌山県出身。53歳。