マックストン パネルプラスの販売強化
静岡
フレキシブルコンクリートマットを中心に全国展開する製品メーカーのマックストン(富士市)は、水路嵩上げ工法『パネルプラス』(繊維補強モルタル板)を開発し、販売を強化している。手持ち・人力施工が売りである同製品は、法面排水溝や水路などの嵩上げを簡易的に行うことを目的に開発された。水路部への土砂流入や土留・溢水、越水対策・舗装止めなど幅広く活用できるが特徴。開発事業に携わった渡井忍営業部長と小野龍哉係長に、開発経緯や道のり、製品における今後の活用などを聞いた。(沼津支局=佐藤巧海)
2023年、「法面排水路の越水・溢水を対策したい」との発注者の要望を受けて事業をスタートした。現場は急斜面で交通量が多く、重機の出入りが困難な場所。最小限の人数で、重機を必要としない人力施工が求められた。そこで“人力施工が売り”である同社の技術に白羽の矢が立った。
床材をメインに事業を進めてきた同社にとって水路・側溝を対象とした製品開発は初めての試みだった。パネルについて、現地での人力施工を実現するために、鉄筋の代わりに繊維補強材を使用し、製品の厚みを薄くすることに成功した。合わせて鉄筋を使用しないことにより、さびによる腐食は皆無であり、水圧や土圧に対して十分な強度を有していることを試験で確認済みである。1つあたりの重さが約6㌔と軽量で、指先で手にかけて簡単に持ち運ぶことができる。嵩上げパネルをとめる支間金具は、水路背面がコンクリートや土砂でもそれぞれ設置対応ができる形状となっている。支間金具DH(水路背面が土砂)のタイプは、アジャスター式を採用したことにより、どの規格サイズの側溝にも設置対応可能であるなど、現場に合わせた提案が可能となっている。
環境にも優しい建材となっている。従来、樹脂素材の型枠を使用していたが、本社所在地が日本有数の製紙業が盛んな地域であること、また環境を配慮した原材料を使用することでSDGs(持続可能な開発目標)を達成するため、紙コップ素材の型枠を採用。紙素材の型枠は平均5、6回使用することが可能で、使用後はトイレットペーパーとして再利用される。さらに廃棄処分にかかるコストを抑えることができるので、安価での製品提供を実現している。
福岡県内における公共工事にも同製品が採用されるなど、徐々に使用の輪は広がりつつある。今後の活用について「同製品の強みが生きる活用方法を模索していきたい」と水路以外での活用に向けて改良を続けていきたい考え。
同社は、人力施工を売りに顧客の声を形にしてきた。これからも柔軟な発想で製品を開発・進化し続けて、顧客一人一人のニーズに応えていく。