古谷崇洋町長に聞く砥部町のまちづくり
四国
1月の町長選挙で初当選を果たし、「子育て支援の充実」「新たな交通システムの構築」「安定した財政基盤の整備」の三つの政策を掲げ、砥部町のリーダーとして町政運営に取り組む古谷崇洋町長。今後のまちづくりやインフラの整備計画などについて話を聞いた。(愛媛支局=片岡良一)
―1月に初当選を果たされ半年が経過しましたが町政運営やまちづくりについてのお考えを伺います。
「先の町長選挙において、故郷である砥部町に新しい風を起こしたいとの想いで立候補を決意し、多くの住民のご支援を得て町長職に就かせていただいた。2005年の町村合併から20年、今の本町が在るのは、先人の方々のご貢献によるものと思っているが、少子高齢化が急速に進行し、社会構造が大きく変わりつつある今、本町は変化のときを迎えている」
「50年先の砥部町を見据え、時代の変化に対応し持続可能なまちづくりを進めていくためには、大胆に子育て支援を進める『「未来の芽』、繋がりと見守りにより安心を高める『安らぎの芽』、砥部らしさを発信する『誇れる芽』、行政サービスの進化と深化による『導く芽』が必要と考えているが、併せて、これらを『育む水』となる財源を確保するために、財政基盤の強化を図らなくてはならない」
「昨今の物価高騰や人件費上昇の影響を受け、特にハード面においては従来施策からの転換も止むを得ないと考えているが、既存事業や公共施設の在り方を見直しつつ、企業誘致やふるさと納税の拡大に取り組み、人口規模と時代の流れに沿った施策の『選択』と『集中』を繰り返すことで、新しい芽を育み、笑顔という花の咲く砥部町を目指していく」
―ハード面のうち、特にインフラ(道路、公共下水道、上水道、橋梁長寿命化、公営住宅改修など)の整備計画については。
「持続可能なまちづくりの指針を明確に示すため、都市計画マスタープランや立地適正化計画の策定に取り組み、効果的かつ一体的な施策を推進していく。本町の既存インフラは、今後10年間で建設後50年以上経過する割合が加速度的に高くなることから、住民の理解と協力の下、既存インフラの選択・集約化を進め、従来の事後保全対策から予防保全対策へ移行、新技術の活用による長寿命化、コスト削減を図る」
「道路施設については、3巡目の橋梁点検に入っているが、財政状況が厳しい中にあって、多額の財政出動を伴うインフラ整備は慎重に臨む必要があるが、住民の安全・安心を最優先に、機動的な行財政運営に取り組む。道路整備では、県道大平砥部線の道路拡幅をはじめとする県事業の早期完成を働きかけるとともに、町道においては、幅員の狭い交差点改良工事や、通学路安全対策の強化に取り組み、住民の安全と利便性の向上を図る。橋梁などについては、2024年度から3巡目の橋梁点検を実施しているが、今年度は37橋の定期点検と1橋の修繕工事詳細設計を予定している」
「上水道事業では、現在進行中の第7配水池改修事業において、配水池築造や電気計装工事を実施する他、耐用年数を経過した管路更新事業に取り組み、災害に強い耐震管路の整備を進めていく。併せて、停電リスクを回避するため主要施設の高圧設備更新や、濁度計・残留塩素系更新事業により、良質な水質の維持に努め、安全安心な水供給を行う」
「公共下水道事業は、24年度末現在で普及率65・2%となっており、引き続き都市計画区域内の未普及地域の整備完了に向け、計画的に整備を進めていく」
「学校施設は、耐震補強や老朽化に伴う外壁や屋根の予防保全改修が完了し、引き続き、学習環境の向上に取り組んでいる。昨年度から、小学校のトイレ改良事業に着手しており、湿式床から乾式床への改良、小便器の自動水栓化、照明のLED化などを進めているが、今後、体育館への空調設備導入などについても、適切な時期に改修を実施していく」
―施工時期の平準化や週休2日制工事を一部導入しているが、取り組みを拡大する考えは。
「建設業界においては、就業者の高齢化に伴い、若年入職者の確保・育成が喫緊の課題となっており、就業者の休日確保や処遇改善などの働き方改革が求められている。本町では、2024年4月以降に発注する土木工事の一部について「週休2日確保工事」を導入しており、引き続き発注の拡大に取り組む」
「施工時期の平準化は、円滑な施工確保に資することに加え、年間を通じた工事量の安定による従事者の処遇改善や、人材・資材・機材などの効率的な活用促進による建設業者の経営の健全化に寄与する。また、公共工事の品質確保につながるものであることから、債務負担行為の活用や柔軟な工期の設定、発注見通しの公表など、施工時期の平準化を促進する」
―入札契約制度の変更や改正点についてはいかがですか。
「2024年度以降、入札制度の変更などはないが、引き続き、公正かつ透明性の高い入札契約執行に努めていく」