進む現場の週休2日対応 大手、公共工事でまず先行

四国
 時間外労働の上限規制が適用され、現場の週休2日対応が進んでいる。日本建設業連合会(日建連)の会員企業では、2024年度通期の平均閉所数(4週閉所日)が7・12日となり、民間建築に限っても徐々に閉所数が伸びている。各建設業団体の集計を見ると、規制適用以前から時間外労働を削減しようと現場の閉所日数を減らしているが、企業規模や業種によって対応に大きな開きがあることも一方の事実としてある。  日建連は、25年度末に会員企業の4週8閉所(4週閉所日8・00日)の達成目標を設けており、会員の大手元請けの閉所日数は5年前の6・22日から7・12日へと大幅に上昇した。  5年前まで5・93日と4週6閉所(4週閉所日6・00日)に満たなかった建築の平均閉所数も6・81日まで上昇した。日建連は、23年度に「適正工期確保宣言」を打ち出し、これを受けて現場の4週8閉所と週40時間稼働を原則とする見積書を提出する会員企業が増加。時間外労働規制の適用後、民間発注者にも適正な工期での契約が定着しつつあるという。  全国建設業協会(全建)の24年7月時点の調査結果を見ると、週休日を「4週8休以上」と回答した企業は全体の43・3%となり、前年度の調査から13・4ポイント上昇した。一方、前年度まで最多だった「4週6休以上」は33・2%と9・3ポイント低下した。  日建連の会員企業と比べ、公共工事の受注割合が高い全建の会員企業は、休暇や閉所日数が発注者である地方自治体の対応に左右される。国土交通省の調べによると、管内市町村の週休2日工事実施率が70%に満たない都道府県は依然として11府県に上っている。週休2日工事の実施率が低い自治体が、全建会員の週休2日対応を妨げている ■依然高い「日給月給」の壁  専門工事業団体でつくる建設産業専門団体連合会(建専連)の24年度の調査結果では、実際に4週8休以上を取得した企業が10・3%と、日建連・全建の会員企業と比べ低い水準にとどまる。  同じ調査では、回答した企業の49・6%が日給月給制を採用していると回答しており、休暇の増加が技能者の給与の低下につながることが、週休2日対応が進まない理由になっていると考えられる。「月給制と日給月給制の技能者によって、休暇に対する考えが異なる。月給制に統一しないと根本的には解決しない」との声も聞かれる。  設備工事業に目を移すと、日本空調衛生工事業協会(日空衛)の調査では、24年度の現場の閉所実績を「4週8閉所以上」と回答した企業は44・0%となり、前年度よりも6・0ポイント上昇した。  日空衛では、公共・民間工事、元請け・下請け受注の調査結果をまとめているため、現場の属性によって閉所実績に差が出ていることが分かる。4週8閉所以上の現場は元請けが59・4%、下請けが35・7%とその差は23・7ポイント。公共工事で61・5%の4週8閉所以上の実績も、民間工事になると38・8%と22・7ポイントの開きがある。 ■一斉閉所運動は祝日、夏季休暇にも  建設業4団体(日建連、全建、全国中小建設業協会、建専連)が進めてきた土日一斉閉所運動には、25年度から日空衛と日本電設工業協会が加わった。業種の異なる設備工事業も一体となり、土日閉所や適正な工期設定を発注者に呼び掛ける。  この土日一斉閉所運動について、日建連が7月にまとめた「建設業の長期ビジョン2・0」では、現場の休暇を土日だけでなく、祝日や夏季・年末年始休暇まで拡大することを提案。実現すれば、完全週休2日であれば年間120日前後の休暇は130日程度まで増えることになる。