26年度の省庁営繕計画、過去10年最高の5千億円超
中央
2026年度当初予算の概算要求に先立ち、中央省庁がまとめた営繕計画書に盛り込まれた工事費は前年度比12・0%増の総額5543億円となった。防衛省と国土交通省が大幅に増額した結果、過去10年間で最高となり、5000億円を超えた。工事の種類別では、新営事業が計画額・件数のいずれも大きく増えた。
各省庁の計画を積み上げると、新営事業が671件となり115件増加。金額ベースでは2876億円で542億円(23・2%)の増加となった。
改修事業は4928件で97件の増加。計画額は2667億円で50億円(1・9%)の微増となっている。
新営・改修事業が増加した背景には、資材や労務費の高騰によって計画額が上振れしたことがあると見られる。全国に1万2590施設ある官庁施設は、57・2%と半数超が築後30年を経過し、老朽化が進んでおり、改修をはじめとした対策ニーズが拡大したことも影響した。
省庁別で最も計画額が大きかったのは防衛省の2162億円で、576億円(36・3%)の大幅増となった。防衛省は防衛力整備計画に基づき全国約300カ所の基地・駐屯地の再編事業を本格化させており、施設整備の関連事業費も急速に拡大している。
次いで大きかったのが国交省の895億円で、増加額は243億円(37・3%増)とこちらも大幅に増えた。矯正施設などを整備する法務省は828億円で、175億円(17・4%)の減となった。
国交省は各省庁が提出した計画書に対し、技術的見地から意見書を作成し、8月20日付で各省庁のトップと財務相に送付した。この内容を踏まえ、各省庁が26年度予算の概算要求に営繕事業費を盛り込む。
今回の意見書では、24年に成立した改正入契法の適正化指針や改正品確法の基本方針、運用指針を踏まえた記載を追加。工事の発注に際し、休日や準備期間に加え、猛暑日を含めて天候を考慮した適正な工期・履行期間を設定するよう求めた。
4月に関係省庁連絡会議が決定した建築物のライフサイクルカーボン削減に関する基本構想を踏まえた対応も求めた。建物が完成した後の運用だけでなく、施工や解体の段階を含めてCO2の発生を抑制する取り組みを促し、総合的な環境負荷低減を推進する必要があるとした。