住宅の労務費基準へ調査 15工程で歩掛把握
中央
国土交通省は、住宅分野で労務費の基準を作成するため、歩掛調査の実施方針をまとめた。戸建て住宅・木造の在来工法を対象に、主要な15工程の歩掛を把握する。非住宅分野の工事でも国直轄工事の歩掛の活用が不向きな作業に、必要に応じて転用=表=。実態に見合った基準を作成する。
改正建設業法に基づく労務費の基準は、建設工事の見積もりに際して技能者の労務費の相場観を示す。中央建設業審議会が11月にも初弾を勧告する。公共工事設計労務単価に直轄工事で用いる土木工事標準歩掛や、公共建築工事の歩掛を乗じて算出することを基本とする。
建築工事については、大規模な建築物と戸建て住宅で施工内容が大きく異なるため、労務費基準を別に作る必要性が指摘されていた。住宅分野については公的な歩掛もないことから、9月にかけて調査を行うことにした。
まずは、戸建て住宅でも特に新設のシェアの大きい木造・在来工法を対象に、建築工事・解体工事の歩掛を調べる。JBN・全国工務店協会が推薦する事業者の施工物件20件程度と、全国解体工事業団体連合会が推薦する3件、全日本瓦工事業連盟が推薦する2件で調査する。
物件ごとに施工に必要な実作業時間・作業人数を調べ、歩掛の実態を把握。工程ごとに平均値を算出し、標準的な歩掛を整備する。
住宅分野の主要な工程として、前工程では▽解体▽仮設▽基礎▽足場▽建方▽防水▽板金・屋根▽外装―を、後工程では▽断熱・気密▽造作▽内装仕上▽設備(電気)▽設備(給排水・ガス)▽美装▽外構―を対象に調査する。それぞれに代表的な作業内容の歩掛を把握する。
構造や階数だけでなく、断熱等級の地域区分、耐震等級、省エネ性能なども歩掛に関わる前提として確認する。
住宅以外の分野でも、直轄工事の歩掛の活用が不向きなものもある。このため、住宅分野の歩掛調査の結果を一部、非住宅分野に転用することとした=表。
調査は9月にかけて実施し、データを集計・検討。労務費基準を作成するため住宅分野で設けている職種別意見交換会での議論を経て、10月末に開く中建審の労務費基準ワーキンググループに提示する見通しだ。