野坂周子氏(のさか・しゅうこ=国土交通省近畿地方整備局企画部長)

大阪
 「阪神・淡路大震災が一つのきっかけとなって、この仕事を志すことになった」。企画部長として近畿地整に着任が決まった際は、「近畿地方に恩返しをしたい」という気持ちが自然に湧いてきた。  入省直後の2年間は京都国道事務所や大和川河川事務所に勤務。近畿地方はそれ以来となる。「伝統や文化を大切にする気持ちは昔から変わっていない、普遍的な部分がある」と感じている。  「地方整備局の仕事は常々素晴らしいと感じていた」という。調査やデータ分析を行い、ニーズを把握した上で、効果的な戦略を立案・実行する「マーケットクリエイター」の役割の重要性を強調する。「もちろん、発注者だけではできないので、受注者と力を合わせ、インフラという民間だけでは供給がなされないものを作り、国民に貢献する」ことにかけがえのない魅力を感じている。  大学では、災害や戦争で大きな被害があった際に、どのようにまちを作り直していくかについて国内外の事例を調査した。「帝都復興史」や「戦災復興史」などを読み、現地調査を行ってきた。「被災し、苦しまれている方々への対処と災害に強いまちを作ることをいかに両立させるか」を探求することが最大の関心事だったと振り返る。  趣味はバイオリンとランニング。大阪城公園の周り走るのが基本のコースだ。バイオリンは「学生時代に挫折したので再挑戦している」と苦笑する。(報道部=森伸也)  略歴 東京大学大学院工学系研究科社会基盤工学専攻 修了。1998年に建設省(現国土交通省)入省。関東地方整備局企画部企画課長、道路局企画課企画専門官、大臣官房技術調査課技術企画官などを歴任。東京都出身。51歳。