都 羽村取水堰の耐震化検討を再開

東京

投渡堰の現況(都ホームページより)

 東京都水道局は羽村取水堰の耐震化に向けた検討を再開する。令和元年東日本台風に伴う被災箇所の復旧が完了する見込みが立ったためで、最新の指針に基づき耐震診断を改めて実施して対策が必要な箇所や工法を考える。建設技術研究所(中央区)が業務を担当。2025年度中に成果を得て、別途委託する設計につなげる見通し。  羽村取水堰(羽村市羽東3ノ8ノ32地先)は多摩川の水を江戸市中に供給する玉川上水の取水口として1654年に設置された。現在の施設は1911年にコンクリート造に改築したもので、右岸の固定堰と左岸の投渡堰(なげわたしぜき=可動堰)で構成。このうち耐震化の対象は延長約40㍍、高さ約5㍍の投渡堰で、角石張りの無筋コンクリート製堰柱4基の上部に作業橋を架けている。  通常時は堰柱間に鋼製桁を渡して丸太杭を立て掛け、粗朶(そだ=木の枝を束ねたもの)や筵(むしろ)、砂利などを積んで水をせき止め取水。増水時には作業橋から鋼製桁をつり上げて丸太杭を外し、粗朶や筵などを流してしまうことで堰をなくし、洪水を回避する。この仕組みが「設置当時の投渡しの技術が現在まで継承されている」ことなどにより、土木学会の選奨土木遺産に認定されている。  改築後100年程度が経過する中で、耐震性の不足が指摘されていた。2016年度に耐震診断を実施して補強方法をまとめたものの、令和元年東日本台風で固定堰などが被災したため復旧を進めていた。  26年度に復旧が完了する見込みとなったことから、投渡堰の耐震化の検討を再開。16年度の耐震診断の後、日本水道協会が22年度に「水道施設耐震工法指針・解説」を改定しているため、今回の業務で同指針に基づき耐震性を再度評価する。耐震補強の方法も提案してもらう。