インドネシアと建設分野の人材育成で合意 JAC

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 建設技能人材機構(JAC)は8月25日、インドネシア海外労働者保護省の海外就労機会促進活用総局と「建設分野における人材育成協力に関する相互合意」を締結した=写真。同国からの特定技能外国人の受け入れ拡大に向け、日本の建設業のプロモーションの強化や、現地での技能向上・日本語教育拠点の構築、建設分野の技能評価試験の拡大に取り組む。  相互合意は、特定技能外国人として働いていたり、特定技能の在留資格の取得を目指しているインドネシア人の人材育成を目的としたもの。主な協力事項には、日本の建設分野での就労意欲を喚起する説明会の強化を位置付けた。  JACがすでに行っている現地説明会に加え、年内にもウェブ形式のセミナーを開き、説明会の機会を大幅に増やす。現地の工業高校生などに参加してもらい、日本の建設業の特徴や受け入れ制度などを紹介し、就労への関心を高める。  建設分野での技能や日本語能力、労働安全衛生に関する知識向上も盛り込んだ。海外労働者保護省が同国内に設ける人材育成拠点を対象に、JACが研修を支援する。  この他、JACは建設分野の特定技能評価試験の実施拡大や、労働安全・生活環境、労災保険の加入手続きに関する相談サービスの提供にも取り組む。  JACの三野輪賢二理事長は、「インドネシア海外労働者保護省と人材育成協力チームを早急に結成する」と述べ、合意に基づく活動の具体化を急ぐ考えを示した。  合意締結に立ち会ったインドネシアのアブドゥル・カディル・カルディン海外労働者保護相は、「日本はインドネシア人材の送り出し先として非常に優先順位の高い国となっている」と述べた。同国内に人材送り出しの拠点を設け、必要な技能や日本語、日本文化の教育を強化する考えだ。  国定勇人国土交通大臣政務官は「国交省として、日本の建設業で働くインドネシア人が安全、安心に活躍できるよう引き続き取り組む」と述べた。  特定技能外国人として在留するインドネシア人は近年急増しており、5月時点では約5000人。国民の半数以上を15歳~32歳が占め、国内の労働市場で雇用しきれないため海外への送り出しに積極的だ。  インドネシア海外労働者保護省が他国の政府系団体とこうした合意を交わすのは初めて。労働市場の規模が大きく、OJTによる人材育成が根付いている日本の建設業への関心は高いという。  同日、国交省とインドネシア海外労働者保護省による意見交換も実施した。インドネシア側からは、受入れ枠のさらなる拡大や、労働環境の監視強化とともに、省レベルでも人材分野の協力に関するワーキングループを立ち上げるよう提案した。