国交省概算要求は7・1兆円 国土強靱化は事項要求

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 国土交通省は8月26日、一般会計への要求額を7兆0812億円とする2026年度の概算要求をまとめた。25年度当初予算と比べて19・0%の増額要求となる。公共事業関係費の要求額は19・1%増の6兆2820億円(事業費15兆7731億円)。政府の概算要求基準を踏まえ、第1次国土強靱化実施中期計画に基づく国土強靱化対策や、公共事業の労務費・資材価格高騰分への対応に必要な経費は事項要求とし、予算編成過程で検討する。  今回の概算要求は、「国民の安全・安心の確保」「持続的な経済成長の実現」「個性を生かした地域づくりと持続可能で活力ある国土づくり」を柱とした。物価高対策などの重要政策に充てる裁量的経費について、前年度予算から20%の増額を認める概算要求基準に基づき、要求額を算出した。  事業の項目のみを示し、年末までの予算編成過程で予算額を検討する事項要求では、6月に決定した第1次国土強靱化実施中期計画に基づく対策推進に必要な経費を盛った。国土強靱化対策はこれまで補正予算で措置されてきており、実施中期計画の初年度分も今秋にも編成される25年度補正予算に計上される見通しだ。建設業界からは補正・当初の双方で予算確保を求める声も根強く、26年度当初予算に盛り込まれるかが注目される。  今回の事項要求では公共事業の実施に必要な経費として、資材価格の高騰に加え、「労務費確保の必要性」についても考慮するとした。12月に全面施行する改正建設業法は、著しく低い労務費での見積もり・見積もり依頼を禁止しており、適切に労務費を確保できるようにする。適切な価格転嫁を促した上で、必要な事業量を確保するとした。  この他、事項要求には北陸新幹線(敦賀・新大阪間)の新規着工に要する経費などを盛った。  公共事業関係の主な要求では、流域治水の加速化・深化に7636億円を要求する。気候変動による水害リスクのさらなる増大に備え、ハード・ソフト一体の対策を講じる。  埼玉県八潮市の道路陥没事故を踏まえたインフラ老朽化対策には1078億円を盛り込んだ。事故発生時に社会的な影響の大きい上下水道管路の更新や、管路の複線化によるリダンダンシー(代替性)の確保を進める。  地域・拠点をつなぐ高速道路をはじめとした道路網の整備には4472億円を投じるとした。  地方自治体に対する社会資本整備総合交付金には5862億円、防災・安全交付金には1兆0185億円を要求する。  建設業関連では、改正建設業法に基づく労務費の基準の作成や実効性確保、建設Gメンの取組強化による処遇改善・取引適正化などに8億円を要求する。