三重県 気候変動を考慮した海岸保全計画を策定

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 三重県は、気候変動の影響を考慮した海岸保全対策へ転換するため三河湾・伊勢湾沿岸海岸保全基本計画を策定した。2度上昇相当、海面が1㍍程度上昇することを考慮した整備や体制の構築に取り組む。  国が2020年10月に改正した海岸保全基本方針に基づいた計画。愛知県と共同で取り組んでいる。海岸保全を過去のデータに加えて、パリ協定の目標でもある2度上昇相当を視野に入れた対策を行う。2100年に年1㍍程度上昇することを考慮した社会全体での取り組み体制も構築する。  同計画のうち高潮対策では、最も被害の大きかった1953年の伊勢湾台風と同等規模を基本に、台風の強大化や海面上昇、施設の耐用年数を踏まえた海岸保全施設整備を目標とする。達成するための施策には、海岸保全施設などで防護機能の向上をはじめ、砂浜・松林といった自然機能の活用、沿岸の土地利用変化に対応した対策を挙げる。  地震・津波対策では、南海トラフ沿いで発生する発生間隔が数十年から百数十年に一度規模の地震津波(レベル1津波)に対応した海岸保全施設整備を目標に掲げた。整備に向けて、気候変動による海岸上昇、施設耐用年数を踏まえた施設整備目標も検討する。施策としては、防護機能の向上や施設の耐震安定性の確保に取り組む。  侵食対策は、現状の汀線保持・保全、目的に応じた復元を目標とし、次の対策を検討する予測を重視した順応的砂浜管理を実施する。施策では、砂浜の保全・復元、施設の洗掘対策を行う。  三河湾も含めた総延長は700㌔で、うち三重県は151㌔。沿線市町は木曽岬町、桑名市、川越町、四日市市、鈴鹿市、津市、松阪市、明和町、伊勢市の6市3町。