愛知県 ペロブス太陽電池Pの取り組み 実証事業を25年度から
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愛知県は、「カーボンニュートラルあいち」の実現に向けた一施策として、ペロブスカイト太陽電池(PSC)の社会実装を全国に先駆けて進めるため、民間企業から提案された「ペロブスカイト太陽電池普及拡大プロジェクト」に取り組んでいる。その推進組織として、5月に「あいちペロブスカイト太陽電池推進協議会」(以下、協議会)を設立。2025年度からPSCの導入ポテンシャル調査、県公共施設での実証事業、官・民施設での実証事業などを行うこととしていたが、8月29日から官・民施設を対象にしたPSC実証フィールドの募集を開始した。
同プロジェクトは、アイシン(刈谷市)、中部電力ミライズ(名古屋市東区)、関西電力(大阪市)の3者により提案されたもので、公共施設や民間施設などにPSCを実証導入し、モデルケースを確立する取り組みが盛り込まれた。このプロジェクトを推進する協議会には、提案企業3社の他、建材メーカー、ゼネコン等が15社、自治体など計86団体等が参画した。その後も新規参画を受け付け、現在、98団体等(座長含む)になっている。
PSC導入の位置付けを見ると、県が策定した「あいち地球温暖化防止戦略2030(改定版)」で、CO2排出量を30年度に46・0%削減(13年度比)することを目標としており、太陽光発電において143万㌔㍗分を上積み(23年度比)する必要があると試算している。このため、従来のシリコン型の太陽電池では設置が困難だった建物の壁面や耐荷重のない屋根などへの設置が可能なPSCの導入によるCO2排出量の大幅な削減が期待されている。県では、製造業などの工場への導入とともに、住宅用太陽光発電の設置件数・導入容量が全国1位であることを生かし、全国初の住宅への導入のモデルの確立を目指している。
25年度の事業では、県公共施設1カ所の屋根・壁などで実証に着手する。今後、対象施設を公表し、複数年を掛けて、実証データを取得する計画。市町村や民間施設等を対象にしたPSC実証フィールドでは、25年度に公募で選定し、26~28年度に実証する。また、同プロジェクト推進事業では、協議会の設立・運営支援・ヒアリング調査や、PSCに係るビジョン策定、PSC設置に適したモデルケース確立のためのケーススタディ、などを行う。業務担当は、有限責任監査法人トーマツ。
26年度以降、官・民施設のPSC実証フィールド開始、モデルケースの追加、実証フィールドの実施要素の追加や規模の拡大、などを進める計画だ。