eスポーツ選手が遠隔施工も 建機オペ人材の多様化促進
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一般的な遠隔施工コントローラーの例
国土交通省の国土技術政策総合研究所(国総研)は、通信を介して建機を操作する遠隔施工の特性を生かし、多様な人材を建機オペレーターに呼び込む方策を検討する。女性や障害のある人、eスポーツのプレーヤーといった人材が活躍できるよう、建設会社や遠隔施工用のコントローラー開発会社向けに「遠隔施工スタートガイド」を作成する。
2026年度当初予算に、関連する研究経費として1200万円を新規で要求した。遠隔施工はこれまで、火山災害や土砂災害の復旧現場といった現地作業の困難な現場での導入が中心となっていた。国総研は、暑熱の過酷な屋外環境での作業の解消や、現場への移動に伴う負担軽減など、建機オペレーターの働き方を改善する使い方に着目。いわゆる「3K」イメージの脱却につなげる。
建機オペレーター人材の担い手不足を解消するだけでなく、多様な人材の視点から職場環境を改善する効果も期待できるという。人材の多様性(ダイバーシティー)の実現を通じて建設業界の社会的評価を向上させる。
研究プロジェクトで作成するスタートガイドには、遠隔施工コントローラーの評価指標を盛り込む。遠隔施工を先行的に導入している現場は既にあるものの、通常の建機の操作に習熟したオペレーターが遠隔操作を担うため、コントローラーも通常の建機をベースとしている=画像。はじめから遠隔施工を前提としたオペレーター人材の育成に当たり、企業が多様な人材の特性に対応したコントローラーを開発できるようにする。
オペレーターの多様化により、従来と異なる働き方や作業内容の指示方法が求められる可能性もある。人材ごとの特性に応じたリスクアセスメントが必要になることも想定。研究プロジェクトで、あるべき遠隔施工方法を検証する。バケット操作の自由度が高いチルトローテータや、3次元データで操作を支援するマシンコントロール(MC)といった既存技術と組み合わせることも検討する。
建機メーカーの他、ラジコンのメーカーやゲーム会社など、従来にない企業との連携も視野に入れる。多様な人材の関係者団体とも協力し、当事者の目線を取り入れて研究を進める。予算が認められれば、26年度から3カ年かけて調査・検討を行う。