富士宮市 須藤秀忠市長インタビュー

静岡

外神東公園に設置された大型複合遊具

 須藤秀忠富士宮市長のもと、世界遺産・富士山にふさわしい美しさと品格を兼ね備えたまちを目指し、『清流の美』『空間の美』『庭園の美』をキーワードに、心が癒やされるまちの具現化を進めてきた。「富士山をはじめとする豊かな自然や歴史、文化を通じて『心の豊かさ』や『癒やし』を得られる素晴らしいまちを、市民の皆さんとともに築いていきたい」と話す同氏に、今後のまちづくりの方針を聞いた。(聞き手は沼津支局=佐藤巧海)  ―市の現状や課題を踏まえたこれからのまちづくりの方針や考え方、また第6次富士宮市総合計画の策定について聞きたい。  「これまでの取り組みにより、地域に誇りを持ち、自然・歴史・文化を生かした郷土愛が醸成され、誰もが住みたい、いつまでも住み続けたいと感じるまちづくりが着実に進展していると考えている。一方、少子化や人口減少、市民の安全・安心の確保といった課題に加え、昨今では物価高騰や国内外の不安定な社会情勢といった新たな課題も生じている。これらの市民生活や地域経済に直接影響を与える課題を克服し、持続可能なまちづくりを進めるには、将来のビジョンをしっかりと描き、その実現に向けて着実に取り組むことが不可欠だ」  「現在、2026年度から10年間のまちづくりの基本方針を示す『第6次富士宮市総合計画』の策定に着手している。計画では、少子高齢化や社会の変化に対応しつつ、恵まれた自然環境を最大限に活用し、富士山を誇りに暮らす人々が互いに支え合い、幸福感を高める『ウェルビーイング』の視点に立ったまちづくりを進めていく。訪れる人も住む人も、富士山をはじめとする豊かな自然や歴史、文化を通じて『心の豊かさ』や『癒やし』を得られる素晴らしいまちを、市民の皆さんとともに築いていく」  ―(仮称)富士宮市立郷土史博物館事業について今後の展開は。  「『富士宮市の歴史・文化を学び未来を拓く、人づくりの拠点』を基本理念とする博物館の整備を進めている。市民が、世代を超えて郷土の自然や歴史や文化を学び、郷土に誇り・愛着を持ってもらえる、また本市を訪れる人もその魅力に共感する施設を目指している」  「基本構想で示した事業活動内容や立地、施設整備、展示、収蔵などの計画を精査し、現在、進めている基本計画で具体的な方向性を示していく。また、ワークショップなども行い、さまざまな人の声を取り入れて形として反映していく。今後、設計、工事と進めていく計画だが、まずはしっかりと基本計画を策定し、市が目指す博物館の姿を、市民の皆さんや議会に示していきたい」  ―小中学校施設の新築や長寿命化について今後の方針は。  「市内の小中学校は、児童・生徒の安全・安心の確保を図る観点から、緊急性、衛生面などを考慮して順次、施設の整備をしている。東小学校管理教室棟と黒田小学校体育館は、老朽化や耐震性の観点から既存建物を解体し、新築工事を進めている。その他の施設は、外壁塗装や屋上防水といった長寿命化工事、和式トイレから温水シャワー付き洋式トイレへの改修工事も行っており、より良い環境を整備するため今後も事業を展開していく」  ―整備が進む都市公園事業について状況を教えてほしい。 「遊具や施設の老朽化が著しいため、公園全体の再整備事業を行っている。城山公園は、野球場のネットフェンスの改修や本部席など設備のリニューアル、既存広場の芝生整備の他、新たにトイレや遊具を設置していく。また外神東公園において、大型木造遊具が老朽化で使用ができない状況だったために、大型遊具を更新した。25年8月4日にオープンした大型複合遊具は、高さ約10メートル、幅約30メートル、奥行き約20メートルの県内最大級の大きさで、利用者から大変好評を得ている。今後も、子供たちが公園で元気いっぱいに遊べる環境を整えていく」  ―3月に改定した「富士宮市世界遺産のまちづくり整備基本構想」において今後の計画は。  「『富士宮市世界遺産のまちづくり整備基本構想』では、浅間大社から富士山世界遺産センターまでの南北の人の流れを東西にも広げ、中心市街地全体に波及させることを目的としている。そのためには、中心市街地にホテルや飲食店などの人が集まる拠点を点在させ、回遊性やにぎわいの創出を図ることが必要。また、市が主体的に進めるハード整備だけではなく、民間活力を生かした整備も重要だ」  「JR富士宮駅は、北口のペデストリアンデッキと駅前広場が供用から40年以上を経過し利用者が不便に感じる部分が出ている。23年度から『富士宮駅前広場等施設整備事業』と称し、既存ストックを生かしながら、景観とユニバーサルデザインに配慮したリニューアルを進めている。昨年11月にはエレベーター1基が完成し、9月には新しいトイレが完成する予定だ。この他、新しい待合所の整備、バス乗り場、タクシー乗り場、南口ふれあい広場のリニューアルなどを計画している。特に、南口ふれあい広場は、キッチンカー等の民間活力の活用も含め、完成後の利活用について検討しており、すべての事業が完成すると、JR富士宮駅は世界遺産のまちの玄関口にふさわしいものになる。今後も、『富士山信仰の歴史・文化が香るにぎわいとおもてなしのまちづくり』を目指し、まちづくりを進めていく」