水道事業の経営広域化 新たな交付金事業を創設

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 国土交通省は、地方自治体がより規模の大きい水道事業へと「経営広域化」を図れるよう、交付金事業に新たなメニューを設ける。現在の交付金事業では「3自治体以上が実施する、給水人口が5万人以上の水道事業」を求めており、より規模の大きい給水人口を条件とする新たなメニューを創設する。2026年度当初予算への概算要求に、新規事項として盛り込んだ。  経営広域化とは、複数の自治体が一部事務組合である水道企業団を設置し、単一の主体として水道事業を経営すること。各自治体の水道事業を残したまま一つの組織が経営する「経営の一体化」と、各自治体の事業も統合した「事業統合」に分けられる。  自治体単位から大きな一つの組織へと水道事業の実施体制を変えることで、職員が分業しやすくなったり、技術力や発注能力などの専門性を向上させたりできる。広域化に伴って施設の統廃合や管理システムの一本化なども想定されるため、財政面のメリットもある。  持続可能な上下水道事業の実現に向け、国交省が設置した「上下水道政策の基本的なあり方検討会」でも、人口減少による料金収入の減少や、維持管理・更新費の増大などを踏まえ、経営広域化の推進が必要とする報告書をまとめた。  すでに経営広域化を実施している自治体もあるものの、規模のメリットが大きい経営広域化を推進するため、より厳しい条件の交付金メニューを設ける。交付期間は最長10年間とし、2044年度までの時限事業とする。現行の交付金事業(交付期間は最大10年間、34年度までの時限事業)も残すが、より長期間の交付を受けるには新たなメニューの選択が求められるようになる。  経営広域化の推進に向けては、水道事業と下水道事業を対象とする新たな補助事業も創設する予定。水道事業に対する補助事業では、今回検討している新たな交付金事業の交付条件と同じ自治体数や給水人口とする。下水道事業については、自治体数や下水処理人口を補助対象の基準として検討する。