信頼向上、経営合理化を議論 建設企業の在り方勉強会

中央
 国土交通省は9月2日、今後の建設業政策の在り方に関する有識者勉強会を開き、これからの建設企業の在り方について議論した。楠田幹人不動産・建設経済局長は全体を通じた検討の視点として「建設業は国民や社会からの信頼があって初めて成立する産業である」と強調。合わせて、「時代や社会の変化に合わせた生産システムの合理化についても不断の検討が必要になる」と述べ、積極的な議論を求めた。  会議は、今後の建設業政策の方向性を議論する場として6月に発足した。主要なテーマには▽これからの建設業に求められる企業の在り方▽建設業を支える人的資源のマネジメントの在り方▽今日的な企業評価の在り方―としている。将来的な担い手の減少や災害の激甚化・頻発化といった課題に対応し、引き続き建設業が社会経済と国民生活の両面で大きな役割を果たせるよう、技術と経営に優れた建設企業の在り方を探る。合わせて、技術者・技能者という人的資源をいかに確保し、配置・マネジメントするかも課題としている。  建設業が抱える課題は企業規模によって異なる。そこで、9月2日の勉強会では主に大手ゼネコンの経営をテーマに意見を交わした。次回の勉強会では地域建設業を取り上げ、あるべき経営を議論する見通しだ。  楠田局長は開会に当たり、近年の建設企業の動向について「特に大手を中心として、規模の拡大や事業の多角化、海外展開など、各社が自己資本を活用して経営力の強化に積極的に取り組んでいる」と指摘した。  また、ロボットをはじめとするDX分野については「(企業間の)協調領域における取り組みの拡大を通じ、効率的・先進的な技術開発に取り組んでいる事例も見られる」と発言。こうした企業動向も踏まえ、委員に望ましい企業の在り方について意見を求めた。  今後は、技術・経営に優れた企業をどのように評価するかも議論のテーマとなりそうだ。  近年の建設投資は、物価上昇の影響が大きいものの、旺盛な民間投資意欲を背景として増加を続けている。6月に開かれた勉強会の初会合では、こうした建設市場が将来的に変化するような局面を巡って議論。事業量の急減が過当競争を招いた過去の教訓から、「事業量が極端に減らないようにするとともに、ダンピングが起こりにくくすることが重要」との意見が出た。  建設業の生産性向上や技能者の処遇改善を巡っては、重層下請け構造の早期見直しを求める声もあった。