名古屋市 長寿命化改修にもZEB基準導入へ検討
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「環境省ホームペ ージ ZEB PORTAL」より引用
名古屋市環境局は、建築物の長寿命化改修にもZEB基準を取り入れる考えだ。建築物のアセットマネジメント計画(公共施設等総合管理計画)では、環境配慮の実施を盛り込んでいるものの、リニューアル改修においてZEBの視点は入っていないという。本年度は、大規模改修を行った施設の省エネ性能を把握した上で、ZEBの目標値を達成するための仕様・増額費用などを整理してガイドライン素案をまとめ、庁内合意を目指したいとしている。
本年度調査では、近年にリニューアル改修を行ったコミュニティセンター、消防署出張所、保育園、福祉会館・児童館を対象に、改修後の一次エネルギー消費性能と外皮性能を把握。対象建築物のZEB化の目標値(ZEBシリーズは▽ZEB▽Nearly ZEB▽ZEB Ready▽ZEB Oriented―の4段階ある)を設定した上で、イニシャルコストやランニングコストなど達成に必要な費用、費用を回収するのに必要な期間、CO2削減量を算出する。
リニューアル改修は、おおむね建築から40年を経過した施設を対象に実施している。調査対象の施設で、2030年までに築40年となる施設のうち、整備未着手の施設数は、コミュニティセンターで193施設、消防出張所で35施設、保育園で70施設、福祉会館と児童館は各11施設ある。現在行っている調査の結果をガイドラインに展開できるかどうかを把握するとともに、ZEB化の実施を意思決定するための検討プロセスを整理する。
ガイドラインには新築・改築とリニューアル改修における目標水準やZEB化フロー、リニューアル改修におけるZEB化に要するコストの試算などを盛り込む方向で検討中だ。
ZEB化により、リニューアル改修の工事で必要な費用は増える可能性がある一方、光熱費といったランニングコスト、CO2排出量の削減にはつながり、トータルコストの削減と温暖化防止対策に寄与できるメリットがある。
市の公共施設等総合管理計画(22年5月)では、環境配慮について、高効率な省エネルギー設備への更新や断熱性能の向上、太陽光発電などの新エネルギーの積極的な導入などで環境に配慮した整備に努めると明記しているものの、ZEB基準は盛り込まれていない。
政府実行計画では、今後予定する新築事業は原則ZEB Oriented相当以上とし、30年度までに新築建築物の平均でZEB Ready相当となるのを目指すとしている。また、第7次エネルギー基本計画では、政府の目標として「2050年にストック平均でZEB基準の水準の省エネ性能が確保されていることを目指す」としている。