日本の都市特性評価 大阪市が5年連続トップ
東京
森記念財団都市戦略研究所は、「日本の都市特性評価(Japan Power Cities、JPC)」の2025年版を発表した。経済・ビジネス分野と文化・交流分野で高評価を得た大阪市が5年連続で1位となった。研究・開発分野などで高い評価だった名古屋市が昨年に続き2位、ビジネス活力と国際交流力を高めた福岡市が前回の5位から3位へと躍進した。
調査対象は①全国の政令市②都道府県庁所在地(政令市除く)③人口17万人以上の都市―の136都市と東京23区。「経済・ビジネス」「文化・交流」「生活・居住」など6分野87の指標を設定し、それぞれの指標に関する定量・定性データを収集。その合計スコアを算出した。
大阪・関西万博の決定以降、会場・インフラの整備やホテルの建設が進み、経済・ビジネス分野の評価が高かった大阪市が21年以降、5年連続で合計スコアトップとなった。
2位の名古屋市は昨年に続き研究・開発と交通・アクセスで高い評価を獲得。さらに今年は生活・居住でもスコアを伸ばした。福岡市が3位に躍進した要因として挙げられるのがビジネス活力。高い都市力でアジアの拠点都市としての地位を固めつつある。4位は観光資源と経済力を兼ね備えた横浜市、歴史・文化の卓越性と水辺環境の改善に取り組んでいる京都市が5位となった。
この他、18年の調査開始以降、順位が上昇傾向にあるのが盛岡市、松山市、愛知県岡崎市など。いずれも地域性に富んだ観光資源や文化資源を生かし、メディアを活用した認知向上の取り組みなどが評価された。
東京23区では港区が今年も1位を維持した。全ての分野で卓越した総合力を発揮する国際的なビジネス拠点としての地位を確立していると評価された。2位は政治・経済の中心地として知られる千代田区。最高水準の生活環境を誇る中央区が3位だった。
運営委員会の委員長を務めた明治大学名誉教授の市川宏雄氏は今回の調査結果を受け「急激な人口減少と少子高齢化、インフラの老朽化など複合的な課題に直面する中で日本が活力を維持し続けるには、各都市が独自の強みを発揮し環境の変化に対応することが不可欠だ」とコメントした。