日本水素エネルギー 川崎のパイプライン設計をJFEエンジ

神奈川
 【川崎】日本水素エネルギー(東京都港区虎ノ門1ノ2ノ3)は、川崎臨海部で高圧水素パイプラインを建設するため、基本設計をJFEエンジニアリング(東京都千代田区)に委託した。「JFEスチール東日本製鉄所(京浜地区)扇島地区」で建設中の液化水素貯蔵基地と直結し、水素製造拠点や供給先とつなぐルートや概算コストを検討する。納期は2026年3月末。その後、実施設計や工事、実証を進めて30年度の社会実装開始を目指す。  新たに整備するパイプラインは扇島地区で建設中の液化水素貯蔵基地に直結し、気化した状態の水素を運搬する。30年度までは国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金事業「大規模水素サプライチェーンの構築」の実証として国内の水素製造拠点から水素基地に水素ガスを供給する。  実証が終了した後の社会実装フェーズでは、水素の調達元は国内から海外に変更する。パイプラインは水素基地を起点として川崎臨海部の供給先へ水素ガスを輸送するために使用。供給先が電気や蒸気に変換することを想定する。  基本設計ではNEDOの実証期間に活用する水素製造拠点や社会実装後の供給先の場所を踏まえ、パイプラインのルートを検討。技術的な課題の抽出や概算コストの算出などを行う。 大林組などから資金調達  パイプラインと接続する水素基地は、川崎重工業・大成建設・東亜建設工業JVの施工で5月に着工。8月には川崎重工業(東京都港区)が播磨工場(兵庫県播磨町)で、水素基地に設置する液化水素貯蔵タンクの製造を開始した。30年1月末の工事完了を目指す。  大型水素タンクは三重殻平底円筒地上式貯槽を採用する。規模は直径60㍍、高さ45㍍。マイナス253度の液化水素約5万立方㍍を貯蔵可能とする。  建設地は川崎市川崎区扇島8の敷地約21㌶。JFEホールディングス(東京都千代田区)、JFEスチール(同)と賃貸借契約を結んだ。  日本水素エネルギーはNEDOの実証事業にかかる経費を3022億円と試算。国費で2166億円を賄い、856億円を自己負担とする考えだ。  資金調達に当たり第三者割当を実施し、▽大林組▽荏原製作所▽東京センチュリー▽日本政策投資銀行▽みずほ銀行▽三菱化工機―の6社から出資を受けることを決めた。