社会資本整備に中長期の視点 水嶋国交事務次官

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 国土交通事務次官の水嶋智氏が建設専門紙のインタビューに応じ、社会資本の整備・管理について「中長期的な見通しをもって計画的・戦略的に行っていくことが極めて重要だ」と述べた。建設産業は「国民生活を支える重要な役割を担っている」とし、新4Kの実現に向けて「業界の皆さまと一体となって取り組んでいく」との姿勢を強調した。  今後の社会資本整備については、「防災対策や経済成長に必要なものを重点的かつ着実に整備していきたい」と力を込めた。埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故を念頭に、インフラ老朽化対策の必要性にも言及。機能維持とともに、維持管理更新費の抑制のため、「予防保全型メンテナンスへの転換を加速する」とした。  人口減少が進む中で、地域の将来像を踏まえてインフラを集約・再編する必要性も指摘。見直しを進めている社会資本整備重点計画が「将来のインフラ整備の羅針盤になる」と述べた。  6月に決定した第1次国土強靱化実施中期計画では「今後5年間でおおむね20兆円強」との事業規模が示された。建設業者の安定的な設備投資・人材育成や、資材価格・人件費の高騰への対応という観点からも「中長期的な見通しに立って安定的・持続的な公共投資を確保していく」と述べた。  地方創生にも国交省として積極的に取り組む。リニア中央新幹線や新東名高速道路、新名神高速道路といったネットワーク形成を通じ、「国土全体に人口や社会・経済的機能が分散的に配置される国土構造を実現する」とした。 【略歴】水嶋智(みずしま さとる) 東京大学法学部卒。86年運輸省採用。国交省鉄道局長、大臣官房長、鉄道建設・運輸施設整備支援機構副理事長、国土交通審議官を経て7月から現職。62歳、京都府出身。