中経連×中部地整  強靱化・将来ビジョンで意見交換

中部

中経連・勝野会長

 中部経済連合会(中経連、勝野哲会長・中部電力会長)と国土交通省中部地方整備局は9月3日、中部地域の経済成長と発展に向けて両者が意見を交わす「中部地域懇話会」を名古屋市で開いた。国土強靱化や、インフラの維持管理、圏域の将来ビジョンなどについて議論し、上下水道事業や地震対策の課題を共有した。  当日は、中経連と中部地整から幹部11人ずつが出席。開会のあいさつに立った勝野会長=写真右=は、8月30日に開通した東海環状自動車道・本巣IC~大野神戸ICなどを例に挙げ、「この数年で中部圏の道路ネットワークは、大きく進展した」と評価。同局の尽力に謝意を示した上で「リニア開通や、対災害を重視したインフラ整備の促進」を求めた。特に上下水道事業については、能登半島地震と八潮市道路陥没事故を踏まえた緊急提言を3月に発表したことを紹介し、「強靱かつ持続可能な上下水道事業」への支援を要請。中経連が発表した中部圏ビジョン2050と広域地方計画について「ほぼ同じ方向を見据えている」として、「より連携を一層深め、中部圏の発展に一緒に取り組んでいこう」と呼びかけた。  これに対して、中部地方整備局の森本輝局長=写真左=は、気候変動やトランプ関税などにより「中部圏を取り巻く環境が大きく揺らされている」との認識を示し、「連携を強めながら、インフラの整備や管理にしっかりと取り組んでいく」と回答。特に、若い世代の流出による担い手不足に危機感を踏まえ、「この地域で暮らす人々のウェルビーイングを高めることを目標に広域地方計画をつくっていく」「魅力的な地域、まちづくりを進めていく」とした。また、国土強靱化とインフラの維持管理に向けても「しっかりと予算を確保し、必要な整備を進めていく」とし、中経連に連携と支援を求めている。  議事では、前述の上下水道事業の問題について、担い手や財源の不足などの課題認識を共有。また、南海トラフを始めとする地震への備えでは、能登半島やカムチャッカ半島の例を踏まえ、伊豆縦貫自動車道など半島部の道路について早期整備の必要性を確認した。さらに両者は、若年層の人口流出や災害対応、社会資本整備などについて議論を進める中で「情報発信が不足している」という課題も共有、「中部圏の地域の魅力」や「地方整備局の活動」についてPRを強化する方針を示している。