会員4割が利益悪化傾向 背景に「実質工事量の縮小」 全建

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 全国建設業協会(全建、今井雅則会長)のアンケート調査に対し、受注状況が悪化傾向にあると回答した会員企業が、全体の48・1%と半数近くに上っている。直近の決算よりも利益が低下しているとの回答も40・8%だった=グラフ参照。「公共工事の規模が小さくなり、利益確保が難しい」など、資材価格と人件費の高騰による実質工事量の縮小を訴える自由回答も多かった。  品確法の運用指針への発注者の対応を聞くアンケート調査にこうした回答が寄せられた。この調査は、今年6~7月に行われ、47都道府県建設業協会と会員企業1891社が回答した。  この調査に対し、直近1年間(24年6月1日~25年5月31日)の受注が前年よりも「悪い」「悪くなってきた」と回答した会員企業は合計で48・1%となり、前回の調査と比べ8・5ポイント増加した。地区別に見ると、東日本大震災の復興事業が収束した東北が59・0%と最も高く、四国の52・7%、中部の52・3%が続いた。  受注状況が悪化した要因として、「公共工事の発注量の減少」を挙げた企業は全体の87・3%。全建は、公共事業費が横ばいで推移する中、資材価格と人件費の上昇が発注件数の減少や工事規模の縮小を招いているとしており、調査結果はこうした主張を裏付けることになった。  実質工事量の減少は、会員企業の利益の悪化も招いている。24年度決算と前期の決算を比較し、利益が「悪い」「悪くなってきた」と回答した会員企業は40・8%(3・6ポイント増)。利益が悪化した要因としては、「公共工事の受注の減少」が75・6%と最多で、「資機材価格の高騰・労務費の上昇」と回答する企業も62・7%あった。  利益が低下する理由として、会員企業は「一定以上の規模がある現場でないと、設計歩掛と実質歩掛の差や、安全経費、共通仮設費などの固定により、利益が圧迫される」、「イニシャルコストは年々増加するが、受注金額は減少傾向にあり、利益がでない」など、実質工事量の縮小を訴える。  一方、現場管理費や一般管理費の引き上げを求める声もある。「労務単価は上昇しているが、技術者の給与の原資である現場管理費が低すぎる」「本店・支店の社員給与も引き上げている。一般管理費率も見直してほしい」と、公共工事の積算に対する不満も強まっている。  利益を圧迫しているのは資材価格・人件費だけでない。「猛暑時には施工効率が通常の半分以下になるため、熱中症の補正ではまったく賄いきれない」など、現場の熱中症対策への手当を求める声も強い。