過去最大の概算要求 公共事業と強靱化を確かなものに

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 国の2026年度当初予算に関わる概算要求が8月末に締め切られた。一般会計の要求総額は122兆4454億円で、前年度予算に比べ6・3%増えて過去最大。関係省庁は公共事業や国土強靱化の予算をどう見積もったのか。  国土交通省の要求した公共事業関係費は19・1%増の6兆2820億円。農林水産省は17・5%増の8188億円を公共事業に充てるとした。文部科学省は公立学校整備で198・8%増の2066億円を求めた。防衛省は自衛隊施設の強靱化で53%増の1兆0636億円を要求している。  省庁全体の国土強靱化関連要求額は24・6%増の6兆6583億円で、うち公共事業関係費が20・6%増の4兆9094億円。一方、政府が6月に閣議決定した第1次国土強靱化実施中期計画(26~30年度)の対策経費は「事項要求」のため、各省庁が今後の予算編成過程で必要額を検討する。労務費や資材価格の高騰への対応も同様だ。  国の公共事業関係費は過去十数年にわたり当初予算が6兆~6・1兆円と横ばいで、概算要求の伸び分を補正予算に回すような形で上積みしている。補正予算で措置した公共事業関係費の相当程度は国土強靱化などの「3か年緊急対策」(18~20年度)と「5か年加速化対策」(21~25年度)に基づくものだった。  第1次国土強靱化実施中期計画の事業規模は26年度からの5年間で20兆円強。財源の議論やより効果の高い施策への重点配分が必要なのは言うまでもないが、25年度の補正予算で第1次国土強靱化実施中期計画と目下の労務費や資材価格の高騰に先鞭(せんべん)をつけ、26年度以降の当初予算でもそれらの経費を積み増すようにすべきではないか。  建設業界は国土強靱化経費の当初予算での別枠計上を求め続けてきた。施工余力をもって円滑な執行に応えてくれるはずだ。  気候変動に伴う洪水被害はどこで起きてもおかしくない。道路ネットワークの充実は持続的な社会経済活動と災害時の被災地支援に不可欠だ。土木学会は強靱化対策に58兆円以上を投じれば南海トラフ地震の被害を3割程度減らせると説く。  公共事業や国土強靱化の予算をしっかり確保し、目に見える成果を上げることこそが、国民の安全と安心を実現する唯一の手だてだ。