県建協と中部地整 公共工事の諸課題解決へ意見交換
静岡
発注者の立場から意見を述べる森本局長
静岡県建設業協会(石井源一会長)は8月29日、静岡市葵区内で国土交通省中部地方整備局と
公共工事の諸課題に関して意見交換会を開いた。公共事業予算の持続的・安定的な確保をはじめ、高騰する人件費対応と担い手確保、盛土規制法施行への対応など七つのテーマを中心に、受発注者双方の立場から意見を交わした。
中部地整からは森本輝局長をはじめ濱田禎企画部長、小倉佳彦建政部長、県内出先事務所長ら17人、県建協からは石井会長ら16人が出席した。
協会からの①公共事業予算の持続的・安定的な確保②高騰する人件費対応と担い手確保③時間外労働上限規制への対応④適正な利潤の確保と円滑な工事執行⑤CCUS活用状況と課題⑥盛土規制法施行への対応⑦災害対応力の強化―の要望事項は次の通り。
「公共事業予算の持続的・安定的な確保」
国土強靱化実施中期計画では、既存施設の機能保全を図るとともに、道路事業では代替道路整備やネットワーク化、流域治水事業ではソフト対策を重視している部分もあると指摘。
ソフト対策に委ねるのではなく、流下能力の向上や貯留施設整備などの事業の位置付けを要望。実施予定箇所のバランスへの配慮や、完了予定時期の明示も求めた。
「高騰する人件費対応と担い手確保」
建設に携わる者が誇りややりがいを感じ、県民が公共土木の役割を理解し、恩恵を実感できる未来志向のビジョン作成・提示によるアピールを要望。
「時間外労働上限規制への対応」
ワンデーレスポンス、ウイークリースタンス、土木工事電子書類スリム化ガイドなどの取り組みについて、県や市町への展開を求めた他、当初設計の不備に起因する変更図書の書類作成の改善、適正な工期設定や発注時期の工夫なども要望。
「適正な利潤の確保と円滑な工事執行」
技術力と施工能力を維持するためには、人材確保と育成、施工技術の開発と保持などの継続的な投資が必要。そのためにも、適正な利潤を見込める工事の設計と発注、設計と実態の乖離(かいり)解消、工事着手を阻害する要因を含む設計書の解消と適切な設計変更の実施を求めた。
「CCUS活用状況と課題
公共工事設計労務単価では、CCUSレベル別年収に応じた単価設定が設けられていないことも含め、登録・利用促進のメリットについて具体的な回答を要望。
「盛土規制法施行への対応」
残土処分場不足、受け入れ価格の高騰が生じている。マッチングシステムなどの活用により、国と自治体間での利用先・処分先の検討を要望した他、公設民営での残土処理場開設の制度創設を提案。
「災害対応力の強化」
災害発生時の応急復旧などの対応中、事故やけが、第三者災害に対する補償は市町判断によるところが大きく、最終的には建設会社負担となる場合もあるため、制度の改正を要望した。