個人事業者の労災報告 27年1月から施行
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厚生労働省は9月5日、労働政策審議会安全衛生分科会を開き、一人親方などの個人事業者の労働災害を報告する制度について、報告すべき情報などを定めた改正労働安全衛生施行令案を示した。11月に公布する予定で、2027年1月1日に施行する。個人事業者の労働災害を網羅的に把握し、安全衛生対策の企画・立案に役立てる。
個人事業者の労働災害報告制度は、5月に成立した改正労働安全衛生法で義務化された。労働災害の報告が義務付けられる報告主体は、原則として個人事業者本人と、個人事業者の直近上位の注文者を指す「特定注文者」となる。
個人事業者が労働災害を起こした場合、原則として特定注文者に報告し、報告を受けた特定注文者が遅滞なく労働基準監督署に電子システム上で報告しなければならない。個人事業者が脳・心臓疾患、精神障害を患った場合は、個人事業者本人が労働基準監督署に直接報告することとする。
個人事業者が入院、死亡などにより報告できない場合は、個人事業者からの報告を受けなくても、特定注文者が報告しなければならない。
報告すべき事項は、被災者に関する情報、報告者に関する情報、労働災害の発生に関する情報など。被災者に関する情報は、被災者の氏名などの他に、経験期間や労災保険の特別加入状況、休業見込み期間なども報告する。
報告者に関する情報では、労働保険番号や事業場の名称、元方事業者名称などが必要になる。
改正施行令を施行する27年から一定期間は、経過措置として、紙媒体での報告も認める予定だ。
また、報告制度の円滑な運用に向け、報告が必要となる想定ケースや、報告主体の定義、報告の書式などは通達で示す。