循環のみち下水道賞 西三河5市がグランプリ受賞

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 下水に関する優れた取り組みを表彰する国土交通大臣表彰「循環のみち下水道賞」のグランプリに、豊田市など西三河5市の「給排水工事オンライン申請システムの共同導入」が選ばれた。その他、イノベーション部門では名古屋市上下水道局の「循かん大なごん」が、上下水道一体部門では名古屋市上下水道局と指定水道工事店協同組合(名水協)・名古屋上下水道総合サービス(NAWS)が結んだ「災害時の協力覚書」が選定された。表彰式は9月10日に国土交通省で開かれる。  同賞は、健全な水循環、資源・エネルギー循環を生み出す21世紀の下水道コンセプト「循環のみち下水道」に基づき、2008年度に創設された国土交通大臣賞。毎年、下水道の日(9月10日)に合わせて、多様な面から社会に貢献した優れた事例を表彰している。  グランプリに選ばれた「給排水工事オンライン申請システムの共同導入」は、豊田市・岡崎市・安城市・知立市・西尾市がDXの広域連携として共同で導入したシステム。指定工事事業者などが行う給排水工事に関する申請がネット上で行えるようにし、4月1日から運用を開始した。共同導入によって各市が単独で導入した場合と比較し、初期経費で35%、経常経費で61%のコストを削減。5市共通のポータルサイトを開設したことで申請者の利便性を向上させた。また、上水道の給水装置工事と、下水道の排水設備工事の申請システムを統一化したことで、二重投資を回避するとともに、保守・サポートを集約化され、行政側の事務負担も軽減されている。今回は、これらのメリットを生み出したことが評価され、グランプリを受賞した。  イノベーション部門での受賞となった「循かん大なごん」は、名古屋市上下水道局が下水汚泥の肥料利用に対応するために公定規格に登録した菌体りん酸肥料。原料に「固形燃料化物(乾燥汚泥)」を利用した同肥料の登録は、全国初となっている。  上下水道一体部門で受賞した「災害時における宅地内給排水設備の早期復旧に向けた覚書」は、名古屋市上下水道局と、名水協・NAWSが3月24日に締結。能登半島地震の教訓を踏まえ、修繕受付窓口の設置や、重要医療施設などの被害調査・応急復旧などを協力内容に盛り込んでいる。  中部3県の自治体のグランプリ受賞は、2019年度の露橋水処理センター(名古屋市)以来、6年ぶり。グランプリが設置された14年度以降の受賞では、名古屋市、岐阜県恵那市(マンホールトイレ)に続き、3例目となる。