外国人向け特別教育を拡充 海外開催で人材掘り起こしも

中央
 建設技能人材機構(JAC、三野輪賢二理事長)は、外国人技能者を対象に行っているオンライン特別教育を拡充する。現在、対応している5言語から8言語へと拡大し、国内で就労している特定技能外国人をおおむねカバーできるようにする。海外でも特別教育を実施し、日本での就労を希望する人材の掘り起こしにつなげる。  労働安全衛生法では、特定の危険・有害作業を行わせる際、事業者は労働者に特別教育を受講させなければならない。JACは特定技能外国人を対象としたオンライン特別教育を2024年度に開始し、特定技能外国人を雇用している企業は無料で利用できるようにした。「教育効果が上がっている」との声も現場から寄せられているという。  現在はベトナム語、インドネシア語、英語、中国語、カンボジア後の5カ国後で利用できる。今後、新たな対応言語としてタイ語、ミャンマー語、タガログ語(フィリピン)の提供を予定。これにより、特定技能外国人の98%超までカバーできる見通しだ。  科目も、現行の▽フルハーネス型安全帯使用作業▽自由研削砥石▽新規入職者安全衛生教育▽酸素欠乏・硫化水素危険作業▽足場の組立等▽丸のこ取扱い従事者▽有機溶剤取り扱い従事者―に、さらに10科目の追加を計画。会員へのヒアリングを通じ、小型車両系建設機械や高所作業車などニーズの高い科目から追加する考えだ。  特別教育のさらなる展開として、海外での実施も計画している。9月から11月にかけて、外国人材の主要な送り出し国であるインドネシア、ベトナム、フィリピンで開催を予定。他産業や、日本以外の国との人材獲得競争が激化する中で、特別教育を通じて日本の建設業の安全性をアピールする。  対象は、技能実習や特定技能などの在留資格で日本で就労することに関心のある外国人。インドネシアは日本語教育機関と職業訓練系大学、ベトナムは建設機械系大学、フィリピンは日本語教育機関での実施を予定している。  科目は足場の組み立てと、実技を含めたハーネス型安全帯の使用。新規入職者教育の実施も検討している。  講習を受講し、学科試験に合格した参加者には修了証を交付する。日本で就労する際には、国内で行う特別教育と同様に受講者として認められる。海外にいる段階から日本で働くイメージを持ってもらう。  実施結果を見て、海外での特別教育のさらなる拡大も検討する。